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参院の正当性を取り戻せ~「選挙は違憲無効」と全選挙区で提訴
江川 紹子 | ジャーナリスト
2013年7月23日 0時34分
7月21日に実施された参院選は、住んでいる場所によって投票価値に最高4.77倍の格差があり、憲法違反であり最高裁判決に反する、として升永英俊弁護士らのグループが47選挙区全ての選挙区選挙の無効を求める裁判を14の高裁・同支部に起こした。升永弁護士らは、「国会での多数決が正当性を持つのは、各議員が同じ数の有権者を背負っているから。今回の選挙結果には正当性がない。正当性のない者が国家権力を担うことがあってはならない」と厳しく指摘している。
(略)
憲法は最高法規
そもそも「事情判決の法理」は、憲法98条に反する、と升永弁護士らは指摘する。同条には、こう書かれている。
〈憲法98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。〉
にも関わらず、憲法違反の国務行為(=選挙)を「有効」とすれば、憲法より高い判断基準を認めることになってしまい、憲法が最高法規でなくなってしまうという事態になる(下図参照)。この矛盾を、弁護士らは突く。
「本来、無効とされるべき選挙で議員になった人が、6年間、法律を作り、予算を執行する。資格のない人が、6年間国家権力を行使する。こんな事態はとんでもない」と升永弁護士。
裁判官には憲法を尊重し擁護する義務がある
提訴後の記者会見で、同グループの久保利英明弁護士は、「憲法99条も忘れてはいけない」と述べた。
〈第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。〉
「裁判官は憲法を擁護しなければならない。憲法に縛られている裁判官が、『事情判決の法理』を使って憲法を縛ろうとしている。これは、憲法99条違反だ。それをはっきりさせるために、全選挙区で裁判を起こした。憲法を守るのは、裁判官の義務だ」
同じく伊藤真弁護士は、「昨日行われたのは、民意を反映していない選挙であり、茶番だ」と断罪。
「有権者の35%未満が選挙区の過半数を選んでしまっている。民主的正当性がない全くない代表者が選ばれた。すべての活動に民主的正当性がない。4増4減は、憲法の要請に応えていない。最高裁の判決にも応えていない。憲法改正を言う前に、今の憲法を守れ、と言いたい」
(略)
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