沖縄タイムス
社説[オスプレイ]沖縄が犠牲 もう限界だ
2013年7月30日 09時55分 (2時間18分前に更新)
理不尽というほかない。日本政府は沖縄の要求には全く耳を貸さず、「米軍の配備には文句を言えない」という立場をとり続けている。政権が代わっても、「対米従属」の姿勢は一貫している。
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が30日、米軍岩国基地(山口県)に搬入される。8月上旬には普天間飛行場に配備される予定だ。民主党政権時代の昨年10月には12機が配備されており、2飛行隊、計24機の配備が完了することになる。
政府は口を開けば沖縄の「負担軽減」と普天間の「危険性除去」を唱えるが、その言葉を自ら裏切っていることは誰が見ても明らかだ。
政府は沖縄の要求には「ゼロ回答」のオンパレードだ。
県知事、全41市町村長、県議会、全41市町村議会がそろって反対を表明。ことし1月には全市町村の代表らが異例の東京集会を開き、「建白書」を安倍晋三首相に手渡した。6月にも仲井真弘多知事が安倍首相に配備計画の中止を求めた。普天間を抱える宜野湾市は佐喜真淳市長が市内6団体の代表らとともに追加配備に反対する声明を発表した。政府は「馬耳東風」だ。
オスプレイ着陸帯から住宅地まで400メートルしか離れていない宜野座村城原区は総決起大会を開いた。低空飛行の証拠をDVDに収録して、何度も抗議しているにもかかわらず、何も改善されない。
伊江島補助飛行場に隣接する真謝と西崎両区の住民の会は騒音被害に対し住居移転費などの補償を求めている。対応は困難というのが沖縄防衛局の回答だ。
■ ■
オスプレイ配備後の昨年10月と11月の2カ月間に県と市町村が調査した結果、運用ルールを定めた日米合意違反は318件に上った。ほとんどが「学校や病院を含む人口密集地上空での飛行」である。普天間は市街地のど真ん中を占拠しており、合意に違反することなしに離着陸することがそもそも無理なのである。
合意には「可能な限り」とか「運用上必要な場合を除き」などの表現が組み込まれ、抜け道だらけだ。県への回答もまだ届いていない。
不快感を与えたり、睡眠を妨げたりするオスプレイ特有の低周波音も気掛かりだ。周辺の学校では「基準値」を超えているとの専門家の調査結果が相次いでいるからだ。
昨年10月の配備前に、市民らの反対運動で普天間のゲートが一時封鎖された。沖縄防衛局は市民の反対運動を封じるため、参院選翌日の夜間に、フェンスを張り巡らした。姑息(こそく)なやり方だ。
■ ■
参院選前に日本維新の会の橋下徹共同代表が八尾空港(大阪府八尾市)で訓練の一部を受け入れる提案を政府にした。だが、地元が反対。関西広域連合の25日の会合ではトーンダウンし、訓練の受け入れは盛り込まれなかった。
沖縄に基地が集中するのを支えているのは、本土側の「無関心」である。訓練の移転、分散も進まない。
沖縄を犠牲にした防衛政策はいびつだ。本土側が受け入れの声を上げない限り、何も変わらない。
0 件のコメント:
コメントを投稿