LITERA
『殉愛』だけじゃない! 百田尚樹は“タカ派発言”もデタラメだらけだった!
2015.01.07
昨年は『殉愛』(幻冬舎)騒動ですっかりその「嘘つきぶり」を満天下に知らしめてしまった百田尚樹センセイ。だが、百田センセイがデタラメをまきちらしているのは、入れ込んでる女性を描いた美談だけではなかったらしい。
百田センセイといえば、従軍慰安婦の否定や侵略戦争の肯定、さらには改憲を声高に叫ぶタカ派論客としても知られている。ツイッターでは「もし他国が日本に攻めてきたら、9条教の信者を前線に送り出す」と暴言をはき、「正論」や「WiLL」などの右派メディアにも度々登場。その政治スタンスが安倍首相から評価されて、NHKの経営委員にも抜擢された。
ところが、こうした勇ましいタカ派言説も実は『殉愛』と同様、ほとんど根拠のないテキトーなもののようだ。そのことがはっきりしたのが、『殉愛』騒動真っ盛りの年末に出版された田原総一朗との対談本『愛国論』(KKベストセラーズ)だ。
帯には「日本人はいかに日本を愛すべきか」「戦後70年自虐史観と訣別する!」と勇ましい文句が並ぶこの本、流行ものにはなんでも乗っかる田原の無節操ぶりに改めて感心してしまうが、百田センセイは当初、田原を「典型的な左翼系ジャーナリスト」だと思って警戒していたという。「ところが、会って話してみると、思っていた人とはまるで違っていた。田原さんは会うなり、私の小説『永遠の0』の話になり、絶賛してくれた」と、すっかり心を開いたらしい。
そもそも、「田原が左翼」という認識自体、噴飯ものだが、そんな百田をおだててその気にさせてしまうのだからさすが“人たらし”田原である。実際、田原に乗せられ、百田センセイはまるで大物保守論客になったかのごとく、先の大戦や、自虐史観、中国や韓国との関係、そして朝日新聞問題について、自説を滔々と開陳するのだ。
ところが、語れば語るほど、露呈されるのが無知、底の浅さ、そしてデタラメ。たとえば、自虐教育についての会話はこんな感じだ。
(略)
というか、この人、戦争とか男気とかが大好きなただのお調子者のおっさんで、ほとんど何も考えていないのではないか。ちょっとした情報を聞いてはその気になって、やたらオーバーでテキトーなことを言う……。そういう意味では、政治やジャーナリズムの分野に進出してきたのが間違いだったのかもしれない。おとなしく小説に専念していれば……と思っていたら、なんと、その小説でも「事実の捏造」が明らかになった。
「週刊文春」で始まった連載小説『幻庵』で実在の囲碁棋士・本因坊算砂を取り上げ、「(算砂は)大橋宗桂と平手で対局し、これに勝っている。つまり算砂は碁も将棋も日本一であった」と書いたのだが、これについて、ツイッター等で〈対戦成績は算砂1勝、宗桂7勝。客観的に見て、宗桂の方が算砂より強い。算砂が「将棋も日本一」だったとするのは誤り〉〈変なのは歴史的資料として算砂は宗桂に1勝していることを挙げているのに、宗桂が算砂に7勝している情報を「落としている」点〉〈百田氏が最も嫌うマスコミ的やり方ですよw〉といった指摘が寄せられたのだ。
まあ、何を書いても自分の都合のいいように事実をねじ曲げてしまう人なんですね、きっと。
(伊勢崎馨)
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