毎日新聞 2015年03月06日 07時30分
NHKの籾井(もみい)勝人会長が1月9日に開かれた国際放送番組審議会で、慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について「国の方針ではない」と発言していたことが5日分かった。
NHK関係者によると、籾井会長が国際放送の自主基準「国際番組基準」の一部を引用し、「日本政府の方針を正確に伝えなさいと書いてあるが、はっきりした方針は意外とない」と述べた。その一例として慰安婦問題を挙げ、「安倍(晋三)首相が安倍談話(戦後70年談話)を出せばこれは国の政策だが、河野談話はそうではない」と発言したという。
河野談話について2007年に閣議決定した政府の答弁書は「閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承している」。安倍首相も「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」としている。
5日の衆院総務委員会で高井崇志氏(維新の党)がこの発言を取り上げた。籾井会長は「(2月18日の)民主党部門会議で、河野談話は『今は有効だ』と肯定した。ここで何を言おうが、もはや関係ない」と述べた。審議会の発言について否定はしなかった。審議会の議事概要は近く公表されるが、2月13日に委員に配布された文案では、籾井会長の河野談話についての発言は省略されていたという。【望月麻紀、須藤唯哉】
衆院予算委に参考人として出席し、民主・奥野総一郎氏の質問を聞くNHKの籾井勝人会長
=国会内で2015年3月5日午前10時4分、藤井太郎撮影
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