2015年6月11日木曜日

安保関連法案:「違憲」と指摘の長谷部教授に注目集まる (毎日新聞) : 長谷部教授は、公表された政府見解に対し「(関連法案の)閣議決定の繰り返しで反論というものではない。これ以上説得できる論理がまったくないと思った」と厳しく批判した。 「 「砂川判決から集団的自衛権が出てくるというのは法律学の『いろは』がわかっていない」    

毎日新聞
安保関連法案:「違憲」と指摘の長谷部教授に注目集まる
2015年06月10日

 安全保障関連法案について、自民党推薦の参考人として出席した憲法審査会で「違憲」と指摘した長谷部恭男・早稲田大大学院教授の発言に注目が集まっている。9日、TBSラジオの番組「荻上チキ・Session-22」に出演した際、毎日新聞の取材に応じた長谷部教授は、公表された政府見解に対し「(関連法案の)閣議決定の繰り返しで反論というものではない。これ以上説得できる論理がまったくないと思った」と厳しく批判した。(「主な相違点」、「全文」)。長谷部氏の発言はなぜ注目されるのか。その理由を探った。

 「砂川判決から集団的自衛権が出てくるというのは法律学の『いろは』がわかっていない」

 長谷部氏が強く批判するのは、政府が合憲の根拠として持ち出す、砂川事件の最高裁判決(1959年)への解釈だ。判決は、最高裁が駐留米軍を憲法9条の「戦力」に該当しないと判断し、原判決を破棄して1審に差し戻した。安保条約については憲法判断を避け「内閣や国会の高度の政治的、自由裁量的判断」とするにとどめている。

 判決について長谷部氏は「日米安保条約は、アメリカの集団的自衛権と日本の個別的自衛権を組み合わせて日本を防衛する条約であり、条約の合憲性が問題になった。日本の集団的自衛権はまったく争点になっていない」と根拠にならないとした。

 その著作で、憲法の本質を丁寧に論じることで知られる長谷部氏。「憲法と平和を問いなおす」(2004年、ちくま新書)などでは「立憲主義」が憲法改正論議に欠けていると指摘した。今でこそ、憲法問題で話題になる「立憲主義」だが、長谷部氏の指摘によりメディアが注目するようになったとの評価もある。

 長谷部氏は「憲法は人の生きるべき道や善き生き方を教えてくれるものではない」ことを強調する。その上で「立憲主義」を「根底的に異なる価値観を抱いている人がいることを認め、社会生活の便宜やコストを公平に分かち合う基本的な枠組みを構築することで、個人の自由な生き方と、社会全体の利益に向けた理性的な審議と決定のプロセスとを実現することを目指す立場」と定義している。

 平和主義を定めた憲法9条についても、「絶対平和主義」とする解釈は「善き生き方」を国家レベルで定めることになり、立憲主義と矛盾するのではないか、との見解を示す。

 立憲主義を軸に論理を組み立てる長谷部氏の批判ポイントは、まさに政府の論理展開にある。取材に対し長谷部氏はこう論難した。

 「(政府は)憲法9条で個別的自衛権の行使だけは許してもらいたい、そのための論拠になっている憲法13条を持ち出してきて、個別的自衛権とまったく本質を異にする他国を防衛するための武力の行使を認めてもらおうというのは基本的に無理がある。論理の枠を踏み越えている」。さらに「(集団的自衛権で武力行使を認める要件を)一見、限定するかのような(法案の)文言と、実際に政府がやろうとしていることの間に、常識的には理解できない巨大な距離がある」と指摘した。

 長谷部氏はこの夜、「(政治家は)憲法とは何のためにあるのかわかっているのだろうか」と疑問を呈し、締めくくった。

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