2015年6月11日木曜日

新安保法制 「合憲」見解 論理の破綻は明らかだ (北海道新聞 社説) : 「法案撤回をあらためて求める」 「論理的整合性と法的安定性を保つ解釈とはとても言えまい」 「集団的自衛権の行使が限定的かどうかも極めて疑わしい」

北海道新聞 社説
新安保法制 「合憲」見解 論理の破綻は明らかだ
06/11 08:55

 安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会はきのう、集団的自衛権行使を可能にする法案を「合憲」とした政府見解について与野党がその根拠をただした。

 だが政府側は、憲法解釈を変更した昨年7月の閣議決定をなぞる答弁に終始し、矛盾も浮き彫りになった。論理破綻は明らかだ。

 他国軍の後方支援拡大が憲法上、禁じられる「他国の武力行使との一体化」に当たらないとする見解も説得力を欠いている。

 法案撤回をあらためて求める。

 政府見解は、集団的自衛権行使は「憲法上許されない」とした1972年政府見解の結論部分を「許容される」と変えた理由として、安保環境の変化を挙げた。

 その上で、武力行使の新3要件に基づく限定的な集団的自衛権の行使であれば「これまでの憲法解釈との論理的整合性と法的安定性は保たれる」としている。

 きのうの審議で野党側が、安保環境が好転すれば再び行使は許されなくなるのかただしたのに対し、中谷元・防衛相は認めた。

 時の政権が安保環境をどう判断するかで集団的自衛権を行使できたり、できなかったりすることになる。論理的整合性と法的安定性を保つ解釈とはとても言えまい。

 武力行使の新3要件について中谷氏は「世界に類を見ない、極めて厳しい縛りだ」と強調した。

 だが政府見解は新3要件について、「いかなる事態」にも備えるために「ある程度抽象的な表現が用いられることは避けられない」とした。集団的自衛権の行使が限定的かどうかも極めて疑わしい。

 他国軍の後方支援について政府見解は「現に戦闘を行っている現場」では活動しないことなどを挙げ、「(他国の武力行使との)一体化の回避という憲法上の要請は満たす」とした。

 従来の「非戦闘地域」の考え方をやめる理由について中谷氏は「一度指定すると変更がきかない」ためとしたが、だからこそ政府はこれまで活動地域を慎重の上にも慎重に選んできたのではないか。

 その歯止めをなくし、弾薬提供まで可能にしても「一体化」しないという説明は納得しかねる。

 法案の根拠が揺らいだことで、野党だけでなく自民党内からも「政府が憲法に書いていないことを解釈でできるようになれば、憲法は有名無実化する」などと反対意見が出ている。

 政府はこうした声に謙虚に耳を傾けるべきだ。

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