『朝日俳壇』2015-09-07より
人類の旗一本や終戦日 (西予市)三好普
梧桐(あおぎり)の大きな陰に原爆忌 (富士見市)阿部泰夫
乳母車に保冷剤入れ不戦デモ (町田市)高橋富美子
七十年不戦の空に赤とんぼ (松山市)河村章
衝撃は教師の涙敗戦日 (幸手市)藤井順子
原爆忌伝へて言葉武器となる (佐賀県有田町)森川清志
買出しの村で知りけり終戦日 (神戸市)日下徳一
八月の戦は遠く近きかな (東京都)藤森壮吉
一杯の真水噛み締む終戦日 (堺市)吉田敦子
美しきこの惑星に原爆忌 (三郷市)岡崎正宏
列島のこの夏ことに焦げ臭し (東京都)十亀弘史
福島の身の毛立ちたる羽抜鶏 (鴻巣市)佐久間正城
『朝日歌壇』2015-09-07より
駅頭に傷痍軍人ゐたる日のことにおよびて話つづかず (厚木市)櫻田稔
三百万以上の死者の戦争を七十年で清算をする (松戸市)をがはまなぶ
対岸は四日市なり空襲が花火の如く見えたりと聞く (常滑市)井上啓子
卓上の歴史の教科書のすき間から戦争じわり染み出してくる (横浜市)中野麻保
「核兵器、絶対失くしてほしいかな」広まる「かな」のあまりの軽さ (富士見市)武川行男
総理大臣からその国を守らねばならないといふこの国の危機 (岡山市)梶谷基一
丁寧に説明する程「支持する」が「しない」を越える今朝の新聞 (長野市)関龍夫
九条を守れと教えし三十余年如何に見ているこの夏の卒業生ら (藤沢市)中嶋真男
回天に乗り込む兵士も外部よりハッチを閉ざせし兵士も哀し (石川県)瀧上裕幸
老兵の父は帰省し帰農せり山羊を率いて草山に入る (福岡市)遠藤文彦
十歳が八十となり敗戦忌もどりさうなる不快深まる (東京都)大村森美
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