10月14日(月、昨日)晴れ
神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開催されているゴヤの版画《戦争の惨禍》展覧会に行ってきた。
まるで、
「人間はかくも残酷になれるものなのか?」
「真理、正義、自由は死んだのか?」
という老画家ゴヤの怒りと嘆きが聞えるようだった。
【鎌倉別館】#KanagawaMoMA
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) September 10, 2024
開催中の「#ゴヤ版画『#気まぐれ』『#戦争の惨禍』」展は、本日(9月10日)より後期展示が始まりました。
有料観覧券の半券提示で、観覧料が割引になります(半券1枚につき1回限り有効。65歳以上券、高校生券を除く)。
前期をご覧になった方もぜひ再訪ください。 pic.twitter.com/aCJ4sVZrNU
背景には荒々しく折り返される線によってうごめくような空間が広がり、男の姿は今にも闇に呑まれてしまいそうです。
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) September 22, 2024
天に嘆願するような男の体勢は聖書の一場面の「ゲッセマネの祈り」のキリストを思わせ、これから描かれる戦争の惨禍を予告します。
・・・埋もれるように仰向けに倒れる男が描かれています。
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) September 24, 2024
老若男女への無慈悲な攻撃による心的、物理的衝撃の大きさを、大きく開いた手足やよじれた体、傾いて宙を舞う柱やレンガ、椅子などがよく表しています。
ぼんやりとしたムラのある灰色の背景は、男の孤独や絶望を際立たせています。 折り重なった人々を生存者が見下ろす構図は、本作のほかに18番「葬って後は口を噤め」や60番「彼らを救う者はいない」などにも見られます。 pic.twitter.com/ob9J07G6a0
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) September 26, 2024
反教権的な立場だったゴヤがつけた「奇妙な信心」というタイトルは、神を盲目的に信じる人々に向けられた言葉なのでしょう。
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) September 27, 2024
「強調されたカプリチョス」と呼ばれるテーマがここから始まり、動物や怪物たちの姿を借りて、当時の悪政と対峙していきます。
怪物の右側には、祈るような姿勢の人々が描かれています。
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) October 1, 2024
この怪物は、フェルナンド7世が自由主義を押しのけて敷いた悪しき王政を表しています。怪物がスペインに君臨した結果が、次の72番「結末はこれだ」において怪物が男を貪り食う描写によって示されています。
【鎌倉別館】#KanagawaMoMA #ゴヤ版画 #本日の一点
— 神奈川県立近代美術館 (@KanagawaMoMA) October 6, 2024
『戦争の惨禍』80《彼女はよみがえるだろうか?》
「真理」の擬人像である若い女を人々が取り囲んでいます。
人々はその死を悼んでいるというよりも、棒や書物などを「真理」に振りかざして息の根を止めようとしているように見えます。 pic.twitter.com/ed7pqC3yVo
〈堀田善衛『ゴヤ』より〉
堀田善衛『ゴヤ』(98)「戦争の惨禍」(3終) 「”独立”戦争は”半島”を英国の植民地にしてしまい、スペインの諸植民地は、今度は英国帝国主義の二重植民地に仕立てなおされてしまった。」
堀田善衛『ゴヤ』(113)「版画集『戦争の惨禍』」(1) 「彼の理性は、この戦争の惨禍を前にしての人間の弱さ、無力な怒りと悲しみなどを記録することの空しさ加減を恐らくは明らかに告げていたであろう。」
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