2012年5月13日日曜日

全原協で孤軍奮闘の村上東海村長 「立地自治体が脱原発を」

「全原協」というのがある。
全国原子力発電所所在市町村協議会という組織である。
*
(「東京新聞」5月11日より)
原子力発電所が設置されていたり、建設計画があったりする市長村の首長、議会議長で構成。
隣接する市町村長は準会員として参加できる。
安全確保や地域整備の調査、関連産業の誘致、国会・政府に対する陳情を行う。
会員24市町村、準会員7市町村。
今年3月、原発建設計画がある福島県南相馬市が脱会した。
1968年設立。
*
この全原協で、茨城県東海村の村上達也村長が孤軍奮闘されている。

以下、「東京新聞」5月11日より
(見出し)
「立地自治体が脱原発を」
全原協役員会 茨城・東海村長が訴え
(記事)
(略)副会長を務める茨城県東海村の村上達也村長が「全原協が福島第一原発事故を防げなかったことに責任を感じる」として、副会長の辞任を正式に表明
全原協として「原発立地にノーというべきだ」などと主張した。
全原協総会は十一日、同会館で開かれる。
役員会は非公開。
今後、役員改選や全原協の在り方を検討していくことで合意したという。
村上村長は福島第一原発事故の経験から「実際に住民の避難計画は立てられない」と指摘し、あらためて脱原発を訴えた。
使用済み核燃料など放射性廃棄物を原発所在地の外に持ち出して処理することも批判し、「原発所在地が引き受けるべきだ」と主張した。
また、全原協が電源三法交付金の上積みを要求することを疑問視し、副会長辞任の理由を「全原協は交付金を獲得するために原発推進側にあった。責任の一端は私にもある」と説明。
会長職にある福井県敦賀市の河瀬一治市長にも辞任を迫った。
村上村長は全原協に脱原発依存に向けた制度づくりを国に求めるよう意見書を提出していた。
意見書は特別措置法で国が強制的に原発を取得、廃炉にして原発の数を減らしていく道筋を提案している。

村上村長は以前より全原協副会長辞任の意を表明していた。

朝日新聞
「全原協」の副会長辞任へ 東海村長
2012年05月02日
 東海村の村上達也村長は1日、全国の原発立地自治体などでつくる「全国原子力発電所所在市町村協議会」(全原協)の副会長職を、11日の総会で辞任する考えを明らかにした。
 全原協は、立地自治体が安全の確保や地域振興を国などに対して働きかけることなどを目的に、1968年に設立された。
 協議会の要職を辞任する理由について、村上村長は朝日新聞の取材に対し「協議会は原発の安全第一を訴えてきたが、かけ声だけだった。福島第一原発事故を協議会としても防げなかった。その責任を感じている」と述べた。そのうえで「協議会は、安全を枕ことばに、実際は電源交付金を増やせという要求をしてきた原発推進の組織だ」との見解を示した。

朝日新聞
「原発事故でけじめ」
2012年05月12日
 脱原発を掲げる東海村の村上達也村長が11日、全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)で1997年から務めてきた副会長を辞任した。村上村長はこの日、東京都内で開かれた役員改選の定例総会は欠席。朝日新聞の取材に「住民の安全が第一といいながら、経済産業省の『たいこもち』をやって交付金をもらうための組織になっている全原協の姿勢は反省が必要だ」と、辞任に至った考えを語った。
 村上村長は「福島第一原発事故を見て、役員を長年やってきた者としてけじめをつけた」とも述べた。村上村長は昨年8月、会長の河瀬一治・福井県敦賀市長に辞表を手渡していたが、任期切れまで務めるよう慰留されたという。村上村長は10日の全原協役員会の席上、辞意を表明。95年から会長を続ける河瀬市長にも辞任を促したという。
 総会で会長に再任された河瀬市長は記者団に対し「村上村長は脱原発首長会議の設立に忙しく、全原協全体の考え方とは合わない部分を自分自身で感じられ、役を辞退されたのだと理解している」と語った。

さて、11日の総会
枝野大臣ほかが最初の挨拶だけで退席するなど、市町村長の「怒り」の火種を残したようだ。
この構図、すごく捩れている。
全てとは言わないが、地元の凡その本音は早く再稼動して欲しい。
但し、安全の保証は絶対。

ところが、政府側のやることは一事が万事、脱(反)原発の勢いを活気付けるだけ。
政府は、いま、「停電か再稼動か」の恫喝をしながら、ゆっくりゆっくり再稼動の動きを盛り返しを図ろうとしているところ。
地元の推進派には、もう少しおとなしくしていて欲しいところ。

福井新聞
総会、再稼働で国への不満相次ぐ 全原協、閣僚ら退席に不信感
(2012年5月11日午後7時54分)
 全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)は11日、東京都千代田区の全国町村会館で定例総会を開いた。出席した首長からは「中長期的なエネルギー政策をきちんと示してほしい」などと、原発再稼働をめぐる政府への不満が相次いだ枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相らも出席したが、冒頭のあいさつだけで退席し、各市町村は不満と不信感をあらわにした
 全国31の自治体の市町村長、議長らが出席。会長の河瀬一治敦賀市長(福井県)は「復旧・復興に向けて国の対応や取り組みは遅々として進まず、被災者が元の生活に戻れる時期が見通せない」とし、事故時の初動の不手際に加え、多くの課題が浮き彫りになっていると指摘。さらに、原子力規制組織の設立の遅れに触れ「国民の原子力への不安払しょく、信頼回復のために安全規制体制の構築が急務」と訴えた。
 被災地の復旧・復興など3分野では、夏ごろに要望活動を行うと確認した。
 国との意見交換では、枝野経産相、細野担当相のほか、松下忠洋内閣府副大臣、神本美恵子文部科学政務官と原子力委員会の近藤駿介委員長が出席したが、国会開会中のため近藤委員長を除き全員がすぐに退席した。
 宮城県女川町の須田善明町長は「政務官ぐらいはいるべきだ。こういう対応が不信感を与えかねない」と批判。新潟県柏崎市の会田洋市長も「これが立地地域と向き合う姿勢か。向き合う気持ちがないと信用できなくなる」と苦言を呈した。
 野瀬豊高浜町長山口治太郎美浜町長は、エネルギー政策について将来的には脱原発を掲げる政府の方針に対し、経済成長や温暖化対策など現実的な対応を冷静に議論するよう求めた。福島県双葉町の井戸川克隆町長は除染問題で「要望しても答えが返ってこない。こんな原子力政策があっていいのか」と政府の対応に不満をぶつけた。
 役員改選では会長に河瀬市長を再任。福井県関係では副会長の山口美浜町長が退任し、新たに野瀬高浜町長を選任した。任期は2年。

中日新聞
全原協と政府が意見交換会 閣僚退席に不満噴出   
2012年5月12日
 原発が立地する自治体でつくる全国原子力発電所所在市町村協議会(会長・河瀬一治福井県敦賀市長)と政府の意見交換会が11日、東京都内であった。枝野幸男経済産業相、細野豪志環境・原発事故担当相ら担当大臣、副大臣ら4人の政治家が冒頭のあいさつのみで退席。首長から「その姿勢が不信を与える」と不満が噴出した。
 31市町村の首長らを含めた約90人が出席した。枝野経産相ら4人はあいさつ後、公務を理由に退席。大臣にあてた質問を用意していた首長たちがおり、「政府の姿勢に、被災地を含めて原発所在市町村と向き合う気持ちがない」(会田洋・新潟県柏崎市長)と不満を述べた。
 井戸川克隆・福島県双葉町長は、政府による昨年12月の事故収束宣言に対し「収束はしていない。われわれはいまだ避難させられ、捨てられた国民だ」と政府を批判した。


◆県内首長 脱原発に不安
 原発事故や原発政策の担当閣僚らを招き、都内で十一日開かれた全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の意見交換会。枝野幸男経済産業相と細野豪志環境・原発事故担当相ら政治家が冒頭のあいさつを済ませ退席した後、県内の立地自治体の首長からは、「脱原発」への不安の声が上がり、国の対応への不満が相次いだ。
 「脱原発の結論ありきではないのか」
 最初に質問に立った野瀬豊高浜町長は、政府のエネルギー政策の結論が出ない四月の段階で、枝野経産相が「脱原発依存の政府方針は変わらない」と発言したことに不信感をぶつけた。
 山口治太郎美浜町長は、同町の美浜原発でこれまでに起きた事故の歴史を振り返りつつ「脱原子力のリスクを考えると、原子力を推進する必要がある」と持論を展開。原発の運転再開が見通せない中で、技術作業員らの雇用に配慮を求めた。
 会長の河瀬一治敦賀市長は、意見交換会に先立ち開かれた総会のあいさつで「立地地域の貢献を政府が国民に説明してこなかったため、立地地域に厳しい世論を向ける国民がおられる」と述べた。原発の再稼働問題については「短期的な電力需給ではなく、エネルギーの安全保障や将来のエネルギー源の確保の視点で取り組むべきものだ」と政府の対応を批判した。
 関西電力大飯原発3、4号機を抱えるおおい町の時岡忍町長は発言しなかった。(安福晋一郎)

そして、総会の結論。
立地市町村には悪いけど、これでは立地市町村以外の人々の共感は得られないのではないか・・・、と思う。
福島の惨状から何を学んだのか。

毎日JP
全原協:交付金拡充など、事業計画決める /福井
毎日新聞 2012年05月12日 地方版
 原発立地自治体でつくる「全国原子力発電所所在市町村協議会」(全原協、会長=河瀬一治・敦賀市長)の今年度の事業計画が11日、決まった。全原協は、原子力政策に関し政府にさまざまな要請を行っている。昨年度は福島第1原発事故の直後だったため、交付金の拡充は求めなかったが、今年度は復活させた
 また、多額の電源3法交付金を受け取る立地自治体に対して批判の声が上がっていることを受け、計画に「電力の安定供給に資するための施策であることを国民に対し十分に広報すること」と明記。さらに、交付金を事故対応の基金として積み立てられるように求めるなど、事故以前になかった内容も含めた。
 原発再稼働の是非については明確な意思表示をせず、「国自らが安心安全の確保に責任を持つ姿勢を強く示し、住民の信頼を得ること」とするにとどめた。【柳楽未来】


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