2010年5月30日日曜日

明治5年(1872)6月~7月 マリア・ルーズ号事件 鷗外(10歳)上京 西郷隆盛、山県有朋を救い、参議兼元帥兼近衛都督となる 

明治5年(1872)6月 (この年11月まで日本は太陰暦)
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この月
・陸奥宗光、大蔵省租税頭に任ぜられ、7月、神奈川県令、辞任。
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・フランス人女性ラクロット、育児院董女学校を建てる。
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・「郵便報知新聞」創刊。
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上旬
・秘密回状「インタナショナルのいわゆる分裂」2千部、ジュネーヴで発行、各支部に分配。*
6月3日
・教部省、市村・中村・守田の3座に興行の脚本許可を受けて上演するよう指示。
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6月4日
・司法省、犯罪人の写真保管を決める。
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6月5日
マリア・ルーズ号事件
ペルー国汽船マリア・ルーズ号横浜着。数日後の深夜、中国人苦力脱走、イギリス艦が救助。船内での清人虐待が発覚。
駐日英大使ワトソン、外務省に善処要請。副島外務卿主導で裁判。
8月25日、特別法廷、苦力解放判決。神奈川県権令大江卓担当。船長は国外へ出国。神奈川県は清人の世話をする。
9月13日、清人を清の官吏に引渡す。
明治8年5月29日、ロシア皇帝仲裁裁判で最終決着。
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6月9日
・司法卿江藤新平、「司法省の方針を示すの書」執筆。
公正・迅速・簡易な民事裁判、無実の罪はださない刑事裁判。そのため、本省事務組織、裁判所の判事・検事、法令の調査研究のための明法寮を設置。組織相互の職務権限明確化のため章程を作る(8月3日制定)。
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6月9日
・井上馨・大隈重信連名で、障害が多く「士族卒禄は先着手仕らず」とアメリカの吉田清成に通知。
10日、大久保宛に、華族の禄制改正だけは実施すると報告。
正院が、井上の華族禄制改正にも難色を示し、8月、井上は従来の計画を白紙撤回。
禄制改革計画の後退。
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中旬
・ブリュッセル、「フランスの内乱」フランス版9千部、発行。
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6月24日
・マルクスとエンゲルス、「共産党宣言」ライプツィッヒ新版に序文。パリ・コンミューンの教訓を強調。
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 6月25日
・ビスマルク宰相の文化闘争。ドイツ・イエズス会追放。
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 6月26日
森鴎外(10)、父に従い上京。
8月、旧津和野藩下屋敷内(南葛飾郡須崎村小梅)に住む。
10月、神田西小川町の西周邸に寄寓。この年、本郷壱岐殿坂の進文学社に入り、ドイツ語を学ぶ。
翌明治6年6月30日、祖母(於清)、母(峰子)、弟(篤次郎)、妹(喜美子)、上京。
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6月28日 
・島津久光、4箇条の建白書提出。政府攻撃。西郷・大久保を政府からはずすよう要求。
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6月28日
・自葬を禁止。死者を葬るときは神官か僧侶に依頼するように命じる。
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6月28日
・英米代理公使、マリア・ルーズ号で清人奴隷虐待(日本の裁判権無視=国家主権侵害)調査申入れ。
副島外務卿は、日本領海内でおきた事件とみなし、神奈川県に与えられた居留地規則による裁判権でこの事件を審理する決心。
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7月
・沼間守一(28)・井上毅ら、横浜港から出航、ヨーロッパ視察に向かう。6年9月6日に帰国。
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・琉球駐在官伊地知貞馨、台湾生蕃による琉球人虐殺事件報告の為、鹿児島へ帰還。報告。 
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7月1日
・(新8/4)外務卿副島種臣、居留地規則による裁判権により神奈川県参事大江卓にマリア・ルーズ号取り調べ命ず。
司法卿江藤は反対。神奈川県令(兼大蔵省租税頭)陸奥宗光も反対。陸奥は県令辞任、租税頭に専任。大江は神奈川県権令に昇格。
4日、大江卓(裁判長)、マリア・ルーズ号ペルー人船長・清国人召喚。
19日、清国人乗員231人全てを神奈川県施設に収容。
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 7月4日
・天皇の西日本還幸に随行の西郷隆盛・従道兄弟、鹿児島からの帰路、四国・丸亀で急ぎ帰京命令を受ける。
薩摩・土佐系近衛兵(旧御親兵)が陸軍大輔近衛都督山県有朋に反発、山県が辞表提出まで追詰められる(官僚的な軍統治施策、山城屋和助事件への関与)。
西郷は山県を庇い、政治生命を救う
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7月8日
・インターナショナル・スペイン連合分裂。新マドリード連盟結成。
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7月中旬
・「資本論」第2版第1分冊、マイスネルより刊行。
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7月中旬
・頃~8月下旬。マルクスとエンゲルス、ハーグ大会の政治上、組織上の準備に没頭。
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7月19日

・陸軍少将桐野利秋ら、山城屋和助事件追及。山県有朋近衛都督辞任。
参議西郷隆盛が陸軍元帥となり、近衛都督を兼務(1873/05/08元帥廃止)。
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前年明治4年7月28日の「兵部省官等表」で大元帥・元帥がおかれるが、この時点では誰も就いていない。木戸孝允は西郷の元帥就任に反対。西郷は参議兼陸軍元帥となり、文官・武官の最高位につくことになるため。
明治6年5月、大元帥・元帥が廃止、西郷も陸軍大将となる。
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7月19日
・琉球国王尚泰、表敬使節派遣要請受諾。
29日、琉球使節伊江王子朝直(尚健)一行、首里発。
9月3日、東京着。14日、琉球藩主任命詔書受ける。
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7月22日
・(旧6/17)大久保・伊藤、ワシントン帰任。対米交渉打切り。
24日、交渉中止を米国に通告。(旧6/22)付で寺島駐英大弁務使は、交渉打ち切りを外務卿副島に報告。「使節一同は・・・甚後悔致し居り候」。
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7月23日
植木枝盛(16)、官費を給され致道館に入塾。致道館閉鎖の為、11月26日退塾。
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「輿地誌略」「西洋事情」「万国概誌」「沿革史略」「英史」「西洋各国盛衰強弱一覧表」「坤輿図識」を読む。
「輿地誌略」は、文政9年青地林宗がドイツ書の世界地理書をオランダ訳から重訳したもの。
「西洋事情」は慶応2年以降福沢諭吉が著作出版した書。
「西洋各国盛衰強弱一覧表」は加藤弘之がドイツ書から抄訳し、慶応3年刊行したもの。
「坤輿図識」は、弘化2年箕作省吾が著し、阮甫が修正を加えたもので、オランダの書7部を参考して作ったもの、「福沢の西洋事情以前において、この書の如く弘く流布して、世を啓蒙したものは他に比すべきものがない。正に幕末出版物きっての名著」とされている。
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7月23日
・マルクスとエンゲルス、総務委員会で規約改正問題討議に際し、独自の労働者政党組織の必要を説いたロンドン協議会決定を規約に入れる主張。また、1支部の3分の2は労働者でなければならないことも規約に入れることに成功。
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7月29日
・高島嘉右衛門のガス製造所完成
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* 「★一葉インデックス」をご参照下さい
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