2011年12月4日日曜日

「村長は「このデータは公表しないでくれ!」と叫んだ・・・」(飯館村前田区区長 長谷川健一さん)

東京 北の丸公園(2011-12-02)
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右側の「■MY BLOG LIST」にあるブログ「ウィンザー通信」さんの何日か前の記事に、
「飯舘村を殺したやつの正体」(コチラ)
という過激な標題の記事がある。

これは、「Eisbergの日記」さんという方の、
「福島県飯館村前田区、長谷川区長さんのスピーチ」(コチラ)
という記事を転載したもの。
(今日、同時に「Eisbergの日記」も、右側の「■MY BLOG LIST」に入れた)

これは、ドイツで、ブント(ドイツ自然•環境連盟)、ドイツ放射線防護協会、ベルリン日独平和フォーラムという三つの団体が共同で「福島県の人びとによる報告」と題する講演会を開催し、
そこで、福島県飯館村前田区区長である長谷川健一さんが行ったスピーチを文字に起こしたもの。

今日、再度これを読んだ。

「朝日」連載の「プロメテウスの罠」同様、貴重な証言、記録だと思う。

以下に、抜粋して転載する。

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私は、福島第一原発事故のヒバクシャです。・・・


・・・新聞に三号機の爆発が発表された3月14日、私は慌てて村役場に飛んで行きました。
「原発はどうなっているのですか」と問いただすと、「大変なことが起きている。空間放射線量が40マイクロシーベルトを超えている」という説明を受けました。
驚いた私が部屋を出ようとすると、役場の人はこう言うのです。
「誰にも言わないでくれ。村長に口止めされているんだ」


・・・これは公式に発表された村の放射線量です。
3月15日の午前6時20分のところを見て下さい。44.7マイクロシーベルト/時と書いてあります。
ジャーナリストから知らせてもらった数値は100マイクロシーベルト以上です。
なんという違いでしょう。
公の発表は正しい数値ではないのです。
嘘の報道をしているのです。


  そして、国や県から、専門家達が次々に村にやって来ました。
みんな口々に、大丈夫だ、安心しろと言います。
しかし、その少し後に、今度は別の大学の先生のチームがやって来て、村中の放射線量を測りました。
先生は
「おそろしい。こんなところに住んでいてはいけない。私達が集めたこのデータを村長のところへ持って行ってください。避難しなければなりません」
と言いました。
しかし、村長は「このデータは公表しないでくれ!」と叫んだのです。
村長は村を守ろうとしました。
村をゴーストタウンにしたくなかったのです。


・・・その後、村は計画避難区域に指定されましたが、その前日の4月10日には国の方から偉い学者がやって来て、安全だと言っていたのです。
それなのに、翌日の11日になると、「危険だ!避難しろ」と突然言われ、村民は怒りました。


・・・相馬市の同じ酪農家の友人が自殺したのです。
この写真に写っているのは友人が亡くなる前に壁に書き残した言葉です。
「原発さえなければ」と書いてあります。
「2011年6月10日 1時30分 大変お世話になりました。私の限度を超えました。ごめんなさい。原発さえなければと思います。残った酪農家は原発に負けずに頑張って下さい。仕事をする気力を無くしました」。
時期を同じくして、隣の地区の102歳のおじいちゃんも自殺しました。
南相馬市の93歳のおばあちゃんも「墓へ避難します」と書き残して自殺しました。
こういうことが次々に起きたのです。これからも起こるでしょう。


これは7月下旬の私の自宅の雨どいの線量です。27,62マイクロシーベルト/時と出ています。
現在、村民はみな避難していますが、我々は24時間体制でパトロールしています。
雑草が伸びきって、温室の屋根を突き抜けています。これが今の飯館村の姿です。


・・・私達村民は、村に戻れるのかどうかもわからない状態です。
でもただ一つ、はっきり言えることは、私は子どもや孫を飯館村へは絶対に返さないということです。
飯館村の面積の70%は山です。
家の周りや農地をいくら除染しても、山の除染はできませんから、山から放射能が移動して来るのです。
我々は今から何年か後に、村を捨てる決断をしなければならないかもしれません。
可哀想なのは子ども達です。
子ども達は飯館村というステッカーを一生背負って生きて行かなければなりません。


・・・日本という国は、こんな事故が起こってもなおかつ、原発を再稼働するという。
それどころか、原発を輸出しようとすらしているのです。・・・
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国や県が意図的に情報統制した事実は、事故調(畑村事故調やるかな)か第三者委(今まだないけど)かできちんと解明する必要があると思う。

公務員の服務基準がどうなっているかはよく知らないが、本来伝えなければならない重要事項を隠したりして、重大事項を惹起させたとしたら、これは処罰の対象になるんではないか。

単なる「未必の故意」だって成立するかもしれない。
コチラで触れた)

ところがである、国とか県ではなく、原発爆発映像を所有している福島セントラルテレビという会社もまた、この映像を流し過ぎると被害に遭った人たちの神経を逆なでするとかという理由で、放映の統制をしたという。
もっともっと放映しておけば、防げた被害もあったはずなのに、である。
この会社の検証番組だそうであるが、説明は全くオソマツである。


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↓コチラのサイトでは詳細な解説がある。
福島中央テレビ「原発水素爆発、わたしたちはどう伝えたか」(動画・文字起こし・参考あり)
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それから、原発事故と情報との関連では、東電社員には危険性に関する情報が迅速に流れていて、避難も早かったという話がある。
いわゆる「原発てんでんこ」についても記憶しておかねばならない。
この話も含蓄深い。
(池田香代子さんのブログ「原発てんでんこ」その補遺
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