2012年5月12日土曜日

浜岡原発 断層を想定しない設計 18mの防潮壁に対して21mの津波が想定される それでも安全と中部電力・保安院 安全審査の教授には寄付金

フクシマの原発事故の報を聞いて、ハマオカを連想し危惧した人は多い。
それもあってか、昨年5月には当時の菅首相が浜岡原発の停止を指示した。

その浜岡。
現在、18mの防潮堤を構築中であるが、今年に入って、巨大地震で想定される津波は21mとの内閣府検討会の結論が出た。

ごく最近の浜岡に関するニュースをピックアップした。

①静岡県内の首長が参加する勉強会で、元東芝社員で原発の基本設計担当者が、原発は断層を想定した設計にはなっていない、早く核燃料を安全なところに置いたほうがよいと指摘。
停止中でも危ない。フクシマ四号機のように。

②18mの防潮壁に対して想定津波は21mであることへは、静岡・愛知・三重県知事が憂慮の意を表明。
これに対して、中部電力はそれでも安全と回答、保安院も「安定冷却を確認」したという。
「稼動ありき」のお仲間どうしのやり取りだ。

③中部電力関連会社から浜岡の安全審査を担当した大学の先生に寄付金。
審査には影響ないと、そりゃ誰でもそう言う。あったら大変だ。
でも、出すほうの「下心」はまた別のところにあるものだ。
直接の利害関係者だもの、何もないわけがない。。
そして、その「下心」が通じれば、普通の人間だったら「悪いようには」できないものだ。
「世話になっている」とか・・・、もう少しセコクなると、「また来年も欲しいから」とか・・・。

中日新聞
浜岡原発と津波「設計、断層を想定せず」 静岡で県内首長が勉強会 
2012年5月10日

専門家が危険性指摘
 南海トラフの巨大地震と中部電力浜岡原発(御前崎市)に関し、最新の知見を共有することを目的とした県内の首長らの勉強会が九日、静岡市葵区であった。「浜岡原発と津波」をテーマに県市長会・町村会などが共催し、二十三市町の首長や担当職員ら百十人が出席。専門家は「原発は断層を想定した設計になっていない」と危険性を指摘した。 (広瀬和実)
 元東芝社員で福島第一原発や浜岡原発などの基本設計を担当したNPO法人事務局長の渡辺敦雄さん、津波工学が専門で県防災・原子力学術会議津波対策分科会委員の原田賢治・静岡大准教授らを講師に招いた。
 渡辺さんは原子力発電所の構造を示しながら「福島の事故原因の解明に少なくとも二十年はかかるが、最悪の事態を想定した対策が大事だ」と指摘した。
 講演後の意見交換で、湖西市の三上元市長は「日本の原発にテロ対策はあるのか」と質問し、渡辺さんは「日本では考えられていない」と回答。
沼津市の栗原裕康市長が「浜岡原発で断層がずれて建屋が破壊された場合の想定は」と尋ねると、
渡辺さんは
日本で活断層があることを前提とした設計はされておらず、断層に耐えられない。核燃料を早く安全なところに置いて対策を考えた方がいい
と語った。
 勉強会は計三回開く。次回は七月十三日。


MSNニュース
静岡県知事「重い数字」 浜岡は21㍍の津波来襲
2012.3.31 21:46

内閣府の検討会が、南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震で、従来想定を超える津波の可能性を発表したことで、沿岸自治体は防災計画の抜本的な見直しを迫られることになりそうだ。
 「大変に重い数字だ」。中部電力・浜岡原子力発電所を抱える静岡県の川勝平太知事は、原発のある御前崎市に21メートルの津波が襲来するとの想定に、厳しい表情で語った。
 浜岡原発は東日本大震災の福島第1原発事故を受けて、現在、海抜18メートルの防波壁の建設が進んでいる。しかし、今回想定された津波はそれを上回る21メートルだった。川勝知事は、この数字について「内容を精査する必要がある」とした上で、「中部電は相当の余裕を持たせて18メートルという数字を出したと思うが、これで余裕がないことになった」と述べた。
 昨年5月に当時の菅直人首相が浜岡原発の停止を要請した際に「英断だ」と評価するなど、同原発の再稼働に慎重な立場を取ってきた川勝知事は、「今回の想定は浜岡原発再稼働の判断に当然関わってくる。中部電は相当深刻に受け止めることと思う」と語り、中部電側に今回の想定に対応するよう求めた。
 静岡県では、浜岡原発以外でも、下田市と南伊豆町で最大25・3メートルなど、各地で高い津波が想定された。

川勝知事は「県のこれまでの想定よりかなり高い。東名高速や国道1号、東海道線などに被害が及ぶ可能性がある。今月開通する新東名高速を契機に、沿岸地域から内陸部に軸足を移していくことが必要だ」と災害に強い都市計画を進めることの重要性を訴えた。
 最大13・2メートルの津波が予測された沼津市では、先月、内浦重須地区の自治会が住民約440人全員の高台移転に合意するなど、市民の津波への恐怖心は強い。同市危機管理課の鈴木秀樹課長は「国の想定は、湾の形状や防波堤、水門の有無など、地域の個別事情を考慮したものかどうか分からない。沼津市では、静岡県が9月ごろ、独自に算出して公表する津波高の想定をもとに対策を練り直す」と話している。






MSNニュース
浜岡原発の津波対応を 南海トラフ21メートル津波推計で愛知知事
2012.4.2 12:56
「南海トラフ」の巨大地震で浜岡原発(静岡県御前崎市)付近の最大津波高が21・0メートルとした内閣府の有識者会議の推計結果について、愛知県の大村秀章知事は2日「中部電力は今の対策でどこまで対応でき、何が足りないのか応えていく責務がある」と述べ、早急な対応を求めた。
 中部電は高さが海抜18メートルの防潮堤を建設中。大村知事は「防潮堤を一日も早く完成させることが必要」と話した。ただ津波が18メートルを超えたとしても「非常用電源のバックアップは可能ということだ。当面の対応はできる」との認識を示した。
 愛知県では豊橋市で20・5メートルの最大の津波高が推計されたことについて、大村知事は「衝撃的なデータだ。県は(2011、12年度に)国より詳細な調査をしている。学校、住宅の耐震化や防災訓練など、やれることからやる」と述べた。


MSNニュース
「二重防護では足りない」 浜岡原発防潮堤に三重知事
2012.4.4 14:41 [地震]
三重県の鈴木英敬知事は4日の記者会見で、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で建設中の防潮堤(海抜18メートル)に関し、津波が防潮堤を越えた場合に、いわゆる多重防護をしていたとしても「乗り切れないのでは」と述べ、中部電の津波対策に懸念を示した。
 中部電は、「南海トラフ」の巨大地震で浜岡原発付近の最大津波高が21・0メートルとした国の推計結果を踏まえ、16日までに影響評価を国に報告する。鈴木知事は「16日の報告を注視したい」としつつ、「対策が必要である認識は変わらないが、手法はよく検討してほしい」と中部電に注文した。

毎日JP
浜岡原発:21m津波追加対策…保安院「安定冷却確認」
毎日新聞 2012年04月25日 23時07分(最終更新 04月25日 23時27分)
経済産業省原子力安全・保安院は25日、中部電力が報告していた南海トラフの巨大地震で浜岡原発(静岡県)に高さ21メートルの津波が来た場合を想定した追加対策について、「安定冷却は維持できることを確認した」と発表した。
 追加対策は中部電が16日に報告。運転停止中の原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が失われても核燃料露出まで最短約6日あり、それまでに高台に配備した移動式ポンプとホースで注水が可能とした。【阿部周一】


東京新聞
中部電グループ06年度から3年 名大教授に寄付1140万円 
2012年5月11日 朝刊
 中部電力が停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)の津波対策として建設している海抜十八メートルの防潮堤をめぐり、二〇一一年度に安全性審査の第三者機関委員を務めた名古屋大教授が〇六~〇八年度、中部電の関連企業・団体から総額千百四十万円の寄付を受けていた。本紙の調べで分かった。法的には必要のない自主的な審査だったが、中部電は地元、静岡県に「安全性を確認した」と報告する根拠にしていた。
 この委員は、名大大学院工学研究科の中村光教授(48)。審査で、中部電の津波対策の柱となる防潮堤の耐震性や強度などを主に担当していた。
 本紙が名大に情報公開請求し、過去六年間に大学を通じた研究助成名目の寄付一覧が開示され、判明した。
 開示資料によると、中村教授は財団法人「中部電力基礎技術研究所」(現中部電気利用基礎研究振興財団、名古屋市)から〇六年度に百七十万円、中部電子会社の電気設備業、シーテック(同)から〇六~〇八年度に計九百七十万円の寄付をそれぞれ受け取っていた。〇九年度以降はなかった。
 中部電によると、寄付は公募した研究に対する助成や、原発の土木技術に関する解析など委託した業務に対する対価という。
 浜岡原発の再稼働を目指す中部電は、防潮堤などの津波対策で客観的なデータや専門知識を得るため、自主的な判断で「地震予知総合研究振興会」(東京)に評価を依頼。振興会は昨年七月、地震や土木工学の研究者ら十一人による専門の検討委員会を設置し、中村教授も委員の一人になった。
 検討委は半年余りかけて審査し、対策は安全性が確保されていると結論付けた。中部電は今年三月末、静岡県の県防災・原子力学術会議の分科会にこの報告を伝え、地元の理解を求めた。
 中村教授は本紙の取材に「審査と寄付は全然違う問題だ。評価の客観性に影響を与えることはあり得ない」と話している。
◆委員選定関与せず
 中部電力広報担当者の話 当社は委員の選定に関与しておらず、恣意(しい)的ではない。これによって検討委員会の結果が当社にとって有利になったとは考えていない。検討委の評価は高度の知識を持った有識者の意見を聞くために自主的に依頼したもので、最終的な安全確認は国がするという考えは変わりがない。
 <財団法人地震予知総合研究振興会> 地震予知と防災対策の調査、研究を目的に1981年に設立された。2010年度には研究委託事業で中部電力を含む民間企業から4億円、文部科学省から3億円の収入があり、経済産業省から2億円の補助金を受けた。会長は高木章雄東北大名誉教授。役員の選任や経理書類の承認などの権限を有する評議員には、学者やシンクタンクの研究員とともに中部電と東京電力、関西電力の部長クラスが名を連ねている。

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