東京新聞
「東海」 廃炉阻む動き 原発推進派の村議長ら県内行脚
2012年9月7日 朝刊
日本原子力発電(原電)東海第二原発がある茨城県東海村の村上邦男議長など原発推進派村議らが原発存続を訴え、県内の各市町議会を回っていることが分かった。面会した議長らに廃炉を国に求める意見書を各議会で可決しないよう暗に働き掛けており、意見書の可決を阻止することで、「脱原発機運」の高まりを防ぐ狙い。地元村議会の態度が決まっていない中での異例の行動に、原発反対派の住民らから、反発の声が挙がっている。 (永山陽平)
議会巡りをしているのは、村上議長や大内則夫副議長、地元選出の下路健次郎県議ら原発推進派の議員たち。八月二十日から二十八日にかけて、まだ意見書を可決していない市町村議会のうち十八市町の議長らと面会。「脱原発」を掲げる東海村の村上達也村長と、自分たちの立場の違いを強調した上で、全電源喪失に備えるための電源車配備など原電が進める安全対策や、村民の三分の一が原子力関連の仕事にかかわっている実態を説明し、東海第二の存続に理解を求めた。
県内では四十四市町村のうち、十七市町村議会が東海第二の廃炉を国に求める意見書を可決している。村上議長ら原発推進派は意見書の可決が過半数に達すれば、廃炉の流れが加速するのではないかと危ぶんでいる。
村上議長は「(原発反対派の)村長が話すことと、村議会の考えが同じだと思われているところがある。そうじゃないということを知ってもらうために回り始めた」と説明。意見書を可決していない議会だけを訪問していることには「通してほしくないというのが本音だから、可決したところには行く意味がない。まだ訪ねていない議会もこれから回る」と話す。
東海村の村議会は、原発推進派と反対派がほぼ同じ勢力にあり、東海第二をめぐる意見書はまだ取りまとめられていない。地元議会としての意思が対外的に示されていない中で、村上議長らが個人的に原発存続を働き掛ける議会巡りをしていることに、原発反対派の住民や村議らは強く反発している。
地元住民グループ「リリウムの会」メンバーの岡本孝枝さん(42)は「推進派も必死なのだろうが、やり方が汚い」と批判。原発反対派の恵利いつ村議は「そうした行動の前に、まずは地元村議会で議論を尽くすことの方が大事だ」と指摘する。
村上議長らの訪問を受けた県南地域の市議長は「情で揺さぶられるものはある。意見書をどうしようかと考えさせられた」と推進派に一定の理解を示した。一方で別の市議長は「会ったからといって意見書の議論に影響はない」と言い切った。
0 件のコメント:
コメントを投稿