読売新聞
首相「もう、がけっぷちだ」…無力感・焦り充満
野田首相(55)ら民主党代表選の立候補者4氏は16日、フジテレビ、NHKの報道番組を“ハシゴ”した。
首相が公務で多忙のため、共同記者会見などの中継を除き4氏がそろってテレビに出ることはなかったが、10日の代表選告示から6日後に、ようやく実現した。
「もう、がけっぷちだ」
首相はNHKの番組で、民主党が置かれた状況を、こう表現した。
2009年9月16日、民主党は社民、国民新と3党連立による鳩山内閣を発足させ、本格的な政権交代を成し遂げた。あれからちょうど3年、今や民主党内には、月額2万6000円の子ども手当支給など、主要公約を不完全な形でしか実現できなかった無力感と、政権転落の危機への焦りが充満している。
代表選で首相に挑む赤松広隆元農相(64)、原口一博元総務相(53)、鹿野道彦前農相(70)の3氏は同番組で、党運営や政策決定手法の不備をやり玉に挙げた。
赤松氏「結論ありきのような『政調会長一任』という決め方が混乱を招いた」
原口氏「七十数人の離党者を出したのに、責任を取った人が誰もいない」
鹿野氏「バラバラ感が国民の不信につながっている」
首相は「責任は痛感しているが、一体改革の宿題を中途半端に投げ出すわけにはいかない」と代表選後の結束を求めたが、3氏は政策論議でも首相の姿勢を厳しく批判するばかりだった。
番組の終盤では、首相が気色ばむ一幕もあった。
首相が「政治生命」をかけて成立させた社会保障・税一体改革関連法をめぐり、原口氏が「(民主、自民、公明の)3党合意は崩れている」と指摘したうえ、「より大きな非自民の連立政権を作るべきだ」との持論を展開したためだ。
「非自民の連立政権とは、どういうイメージなのか」
首相は、隣に座る原口氏に自ら質問し、原口氏が「自民党にすり寄るのではない」と説明すると、「政策のスクラムを組まないと、ねじれ国会では物事が進まない」と不愉快そうに語った。4氏そろい踏みでの番組初出演は結局、民主党内の溝の深さを印象づけるだけで終わった。
その直後、自民党総裁選の候補者5人が、同じ番組に登場した。町村信孝元官房長官(67)は皮肉たっぷりに、首相らの論戦をこう評した。
「悪いけれども、さっきの4人。本当に一つの党でやっていけるんだろうかと、国民の皆さんは不安だと思う。野田さんがやれることは、解散しかない」
(2012年9月16日21時53分 読売新聞)
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政権末期の様相のひとつの記録として。
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