2013年7月11日木曜日

京丹後への米レーダー配備、争点化に温度差(京都新聞) 自民党の常套手段=焦点隠し

京都新聞
京丹後への米レーダー配備、争点化に温度差

 2月の日米首脳会談が発端となった航空自衛隊経ケ岬分屯基地(京都府京丹後市丹後町)への米軍Xバンドレーダーの配備計画が、外交・安全保障の課題として、参院選京都選挙区の争点に浮上している。基地受け入れに対し、候補者を立てる各政党は、共産が「反対」を訴え、日米安全保障体制を基調とする自民、民主などは住民の「安全・安心」が不可欠と主張する。

 9日夜、基地予定地に近い同市峰山町で開いた倉林明子候補(共産新人)の個人演説会。党本部で基地対策委員会の責任者を務める小泉親司氏が、15分近く訴えた。「沖縄、横須賀の基地被害は深刻。補助金で潤うのは最初だけ。北朝鮮問題は、未完成の技術で米本土を守るミサイル防衛でなく、外交交渉で解決すべきだ」。

 続いて登壇した倉林候補は「米軍基地は要らないと言える候補は京都では、私だけ」と呼びかけた。女性・労働など20団体が5月に反対運動の連絡会をつくり、集会や署名活動に党市議も参加してきた。党丹後地区委員会の荒田保次委員長(62)は「有権者の理解も深まり、大きな争点となりつつある。反対世論を得票に結び付けたい」と期待する。

 他党には「争点化すると、反対派に有利に働く」(自民京丹後市議)との見方もある。

 西田昌司候補(自民現職)を擁する京丹後市の同党支部は5月末、党員向けの研修会を開いた。「反対派の動きばかり目立つ。現実に即した影響や対策の説明を聞きたい」との要望を受けた企画だ。

 「少し離れれば騒音を感じない。防音壁をしっかり設ければ大丈夫」。先行配備の青森県車力分屯基地を視察した松本経一・市議団代表(55)の説明に、集まった35人がうなずいた。参加者の発言に反対論は無く、基地整備に地元業者を使う要望や、補助金に関する質問に集中した。

 研修会を企画した足達昌久市議(67)は「住民の理解は得られつつある。選挙の争点ではない」と指摘する。

 10日夜、峰山町での西田候補の演説会。応援の山田啓二知事は冒頭、レーダー問題にただ一人触れ、「安全の問題では妥協なく、京丹後市長と連携してしっかり取り組む」と訴えた。

 北神圭朗候補(民主新人)も、受け入れに際して「住民の安心安全の確保が不可欠」と強調する。唯一の党市議の谷口雅昭氏(65)へは、支持者から治安への影響を心配する声も寄せられ、車力基地を例に「目立った危険はないようだ」と説明している。「民主党政権下で、米軍基地が偏在する沖縄の負担軽減を打ち出した経緯もあり、むげに反対することもできない」。

 山内成介候補(維新新人)は「西日本の防空にも資する」、曽我周作候補(幸福新人)は「国防強化が喫緊の課題」としてレーダー配備にそれぞれ賛成。木下陽子候補(みんな新人)は「住民に十分な説明があるまで反対」としている。

【 2013年07月11日 09時14分 】



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