2024年2月10日土曜日

大杉栄とその時代年表(36) 1889(明治22)年11月 漱石「山路観楓」 久保田万太郎生まれる 子規「言志会」をおこす 黒岩周六「都新聞」主筆 中江兆民「自由党諸子の大会に就て」 帝国大学文科大学ベース・ボール大会(子規ら参加)    

 


大杉栄とその時代年表(35) 1889(明治22)年10月 鴎外『しがらみ草子』創刊 緑雨「小説八宗」 中江兆民・幸徳伝次郎、東京で活動再開 子規「水戸紀行」 大隈襲撃・重症(玄洋社社員来島恒喜がダイナマイト投擲) 黒田清隆首相辞任 条約改正延期 より続く

1889(明治22)年

11月

朝鮮、日韓通漁規則、調印。済州島漁民は反対闘争展開。明治24年4月、済州島民騒擾。

11月

島田三郎「条約改正論」(郁文堂)。日本に投資を誘発するほどの価値はなく、優勝劣敗の法則と民族興亡とは無関係と指摘。

11月

森鴎外(27)、「東京医事新誌」主筆を追われる。医学界の古い体質を批判。

11月

内田魯庵、二葉亭四迷と出会う。二葉亭は「種の起源」を英文で読書中。

内田魯庵:

明治14年13歳で中村敬宇の同人社入り。14歳で立教学校(立教大学の前身)で英語を学ぶ。英語力をつけ宣教師フルベッキの通訳をつとめる。立教学校は中退、17歳で工部大学校・高等商業学校を受験し失敗。明治19年東京専門学校(早稲田大学の前身)英学部に入学。明治21年20歳で中退。湯島聖堂図書館で読書し文芸評論の売文生活に入る。明治26年ドストエフスキー「罪と罰」を翻訳刊行。

11月

漱石、「山路観楓」を執筆。

11月2日

米、ノースダコタタ州、合衆国加盟(39番目)。同日、サウスダコタ州、合衆国加盟(40番目)。8日、モンタナ州、合衆国加盟(41番目)。11日、ワシントン州、合衆国加盟(42番目)。

11月6日

吉野泰三、北村門太郎宛の返書。正義派結成の意図、石阪昌孝との確執についての「弁明」。月初め、石阪昌孝の長女と結婚した北村透谷が、岳父に反抗するかのように「平正義派」結成を支援する内容の書簡を吉野泰三に送る。

この頃の透谷:

11月、キリスト教系平和運動組織「日本平和会」結成に参加。翌明治23年1月~3月、本格的な評論「当世文学の潮模様」「時勢に感あり」「泣かん乎笑はん乎」などを発表。困苦せる民衆の現状に無頓着な文学者・政治家・宗教者などを批判。吉野泰三の旧自由党系政治勢力批判は粗暴・暴力にあり、昌孝批判も「壮士」に担ぎ上げられた点にある。吉野泰三は、北多摩郡正義派を既成政党の流れを汲む政治運動が「粗暴」(自由党系への批判)や「営私」(改進党系への批判)に流れ、政府の官吏と同じように「腐敗」してしまった現状に否を唱えるために結成したとする一方、北多摩郡内の公益を計る素人団結組織で、他郡へ向けて対向する意図はない、と腐敗した政治勢力の対抗との無関係性を説明。北村透谷と吉野泰三の共通項。

11月7日

朝鮮、代理公使近藤直鋤、朝鮮政府に対し咸鏡道防穀令施行(10月24日)は通商章程(防穀令は1ヶ月前に日本領事に通告を規定)に違反と抗議。損害賠償要求を声明('93年5月19日妥結)。

11月7日

久保田万太郎、誕生。

11月7日

子規、内藤鳴雪、竹村鍛と漢詩・連句・連歌の会「言志会」をおこす。

11月14日

インド、ネルー誕生

11月中旬

黒岩周六、「絵入自由新聞」より「都新聞」主筆となる。取材に人力車を使用、紙面改善(短評形式の論評)など導入。

11月15日

ブラジル、帝政崩壊・第1次共和制。ベンジャミン・コンスタン中佐、デオドロ・フォンセカ元帥、フロリアノ・ペイショット将軍らを担ぎ出しクーデター決行。16日、暫定共和政府首班フォンセカ元帥、ペドロ2世に海外亡命を要請。17日、皇帝、退位しフランスに亡命。皇族たちもヨーロッパに亡命。フォンセカは憲法制定議会を招集。その後革命を推進したペイショット将軍、ベンジャミン・コンスタン中佐らに実権が集中。12月18日暫定政府、翌90年9月に制憲議会選挙、後2ヶ月以内に新憲法を制定すると発表。前年1888年奴隷解放により、奴隷所有者である地主階級が没落し、これを基盤とした帝政も急速に揺るぐ。

11月20日

グスタフ・マーラー、「2部からなる交響詩」初演。

11月21日

歌舞伎座開場。木挽町、座主福地桜痴、千葉勝五郎。

11月24日

条約改正交渉延期を祝する香美自由大懇親会に300人の婦人参加、杉村作女史演説

11月28日

群馬県議会、廃娼建議案を可決

11月29日

中江兆民「自由党諸子の大会に就て」。大同団結を見限り、後藤・板垣から自立して自由主義に基づく政党結成訴え。自由党再興。

11月30日

午後、帝国大学文科大学でベース・ボール大会。正岡子規・竹村鍛・勝田主計らも参加。


つづく


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