2011年5月21日土曜日

遂に出た 東電が裁判で免責を主張

5月19日「朝日新聞」夕刊記事に、以前からじわじわと広がりつつある「東電免責」論が初めて裁判で主張された、とある。
以下、記事を引用する(改行を施す)。
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(見出し)
震災対策の義務 東電「なかった」
慰謝料請求訴訟で答弁
(記事)
福島第一原発の事故で精神的苦痛を受けたとして、東京電力に慰謝料を求める訴訟が東京簡裁に起こされていたことが分かった。
19日に第1回口頭弁論があり、東電側は事故について
「今回の震災は異常で巨大な天災地変で、対策を講じる義務があったとはいえない」
と反論した。
今回の原発事故をめぐり公開の裁判で東電に慰謝料を求める動きと、それに対する反論が明らかになるのは初めて。

東京都内に住む臨床心理士の男性(46)が、「事故により極度の不安感、恐怖感を受けた」として、10万円の慰謝料を求めて3月末に提訴した。

東電側は答弁書の中で、
「これまでの想像をはるかに超えた、巨大でとてつもない破壊力を持った地震と津波が事故の原因で、対策を講じる義務があったとまではいえない」
と争う姿勢を示した。
そのうえで東電側は、
「都内で人体に被害が生じるレベルの危険性はなく、住民が極度の恐怖感を持つ状況には至っていない」
と請求の棄却を求めた。
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コチラにも同じニュースがあります
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今回の災害が、「対策を講じる義務」がないほどの「想像をはるかに超えた、巨大でとてつもない破壊力を持った地震と津波」だったのかどうか?

まずは事実の検証が必要であろう。
この日(19日)、東電は福島第一原発に津波が押し寄せる写真を11枚公開した。
絶妙のタイミングである。

20日の「朝日」朝刊によると、
東電は、「情報を収集、整理するなかで、こういう写真があることが分かった」と釈明。
細野補佐官も、(またも)「初めてみた。」という。

それにしても、何故11枚だけ公開なのか?

「朝日」の同じ記事によると、この地域に押し寄せた津波は、防波堤をわずかに超える程度で、専門家は10m級と指摘する一方、東電は建屋付近では浸水の跡から見て、14~15m級であったと主張しているらしい。

そう言えば、震度にしても、当初発表のM7.6が、後になってM9.0に訂正されている。

次に、その規模が「想像をはるかに超えた」ものであったかどうか?、をきちんと判断する必要がある。
何故、「想像」できなかったのかという東電の反省説明もまた、免責を原発事業者のモラル・ハザードに繋げないためにも、絶対に必要だ。
東電経営者は、企業家として、技術者として、国民や環境への影響と真摯に向き合わなければ、その組織の再生はありえない、ということを認識すべきである。

裁判の行方に注目したい。

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