鏑木清方(1878-1972) 《三遊亭円朝像》 (重文)
1930(昭和5)年
鏑木清方による肖像画の第一作。
モデルは明治時代の大噺家、三遊亭円朝(1839-1900)です。
芸の大きな名人は実際よりも大きく感じられるといいますが、この作品の円朝が大きいと指摘されるのもやはり、清方の記憶の中にある高座姿を描いているからなのでしょう。
一方、調度や着物は、実物にあたって細かく再現的に描かれています。
記憶に刻まれたよく知る人物の姿を、現実感のある道具立てとともに描く。
清方はこの手法によって「文字に依らない伝記」としての肖像画に新しい領域を開きました。
[HPより]
人情噺(ばなし)の名人として知られた明治時代の落語家、三遊亭円朝(1839-1900) は、清方の父の旧友で、画家自身も身近に接していたといいます。
この作品では正座した円朝が、湯呑みの向こうの客席にひたと視線を向けた、噺に取りかかる 前の一瞬の姿が描かれています。
姿かたちは記憶の中の面影をたよりに描かれ、円朝の鋭く光る眼、結んだ口元からは名人の厳しさや緊張感が伝わってきます。
その一方で、着物や帯、座布団、小道具は、遺愛の品のスケッチをもとに、入念に描写されています。
【重文指定年月日:2003(平成15)年5月29日】
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