2016年12月14日水曜日

中村研一の戦争記録画 (国立近代美術館所蔵作品展MOMATコレクション) 2016-12-08 《マレー沖海戦》 《コタ・バル》 《コタ・バルB》 《珊瑚海海戦》 《タサファロング(ガダルカナルに於ける陸海共同作戦図)》 《北九州上空野辺軍曹機の体当りB29二機を撃墜す》

現在展示中の国立近代美術館所蔵作品展MOMATコレクションの中に
「6.中村研一の戦争記録画」のコーナーがある。
一部は既に記事にしたものもあるが、以下にその内容を紹介する。

中村研一(1895-1967)は福岡県に生まれ、東京美術学校(現在の東京藝術大学)卒業後は1923-28年にパリに学んだ画家です。
堅実な写実描写により、都会的な風俗の人物群像を得意としました。
第二次大戦中は、妻の父親が海軍少将だったこともあり、積極的に戦争記録画の制作へと関わっていきます。
《マレー沖海戦》や《珊瑚海海戦》では、戦艦や戦闘機といった機会が主役となり、広大な風景の中に一種のスペクタクルとして描かれていますが、一方で《コタ・バル》や《タサファロング》では兵士たちの緊張感にみちた群像表現が追求されています。
いずれも、現地でのスケッチ、兵士からの聞き取り、アトリエでの兵士をモデルとした写生などをもとに大画面が構成されています。
《コタ・バル》が敵の視点からの日本軍の進撃を描いたものであることからもわかるように、画家は目にした光景そのままを描写するのではなく、劇的な効果を高めるための演出を巧みに施しているのです。

《マレー沖海戦》1947昭和17年
1941(昭和16)年12月10日のマレー沖海戦にて、日本海軍航空隊がイギリスの戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスを攻撃している場面を描いたもの。
実際に戦闘に参加した爆撃機の乗員からの聞き取りを書き込んだ習作のスケッチが現存しており、丹念な取材のもとに描かれていることがわかります。
《コタ・バル》とともに第一回大東亜戦争美術展に出品されました。



《コタ・バル》1942昭和17年
過去記事参照
中村研一 『コタ・バル』 国立近代美術館(常設展示 「誰がために戦う?」)

《コタ・バルB》1944昭和19年

《珊瑚海海戦》1943昭和18年



《タサファロング(ガダルカナルに於ける陸海共同作戦図)》1944昭和19年
過去記事参照
中村研一(1895-1967) 《タサファロング(ガダルカナルに於ける陸海共同作戦図)》1944昭和19年 / 小磯良平(1903-88) 《娘子関を征く》1941 昭和16年 / 福田豊四郎(1904-70) 《スンゲパタニに於ける軍通信隊の活躍》1944 昭和19年 / 岩田専太郎(1901-74) 《小休止》1944 昭和19年 (東京国立近代美術館コレクション展) 2016-10-04

《北九州上空野辺軍曹機の体当りB29二機を撃墜す》1945昭和20年
過去記事参照
東京国立近代美術館 MOMATコレクション(2015年12月22日~2016年2月28日) (その2) ワシリー・カンディンスキー『全体』 パウル・クレー『花ひらく木をめぐる抽象』 ジョルジュ・ブラック『女のトルソ』 ポール・セザンヌ『大きな花束』 長谷川利行『新宿風景』 中村研一『北九州上空野辺軍曹機の体当りB29二機を撃墜す』 野田英夫『帰路』 横山大観『月明』 松本竣介『建物』 松本竣介『建物(茶)』


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