2017年6月1日木曜日

県立神奈川近代文学館で開催中の企画展『生誕120年 宇野千代展 -華麗なる女の物語』に行った。2017-05-30

5月30日
県立神奈川近代文学館で開催中の
企画展『生誕120年 宇野千代展 -華麗なる女の物語』
に行った。

99歳の天寿をまっとうされたのにまず驚く(感心する)。
若い頃、尾崎士郎と結婚、次に東郷青児と結婚、そののち永遠の伴侶を得られるのだが、それより以前に、娘の生活の安定を願う親の決めた結婚が2回あった。

雑誌の主宰・編集にも秀でて、戦前に中断した文芸雑誌『文体』を戦後に復刊、大岡昇平『野火』はこれに発表された作品。

尾崎士郎と夫婦であった頃、湯ヶ島に逗留、ここで結核療養中の梶井基次郎と親しくなり、それが尾崎との離婚の遠因となったと、小説『生きてゆく私』に記述があるとのこと。

梶井基次郎は、この湯ヶ島で観た染井吉野から着想を得て、「桜の樹の下には屍体埋まっている!」で始まる『桜の樹の下には』を創作した。

短い文章なので、今回、『青空文庫』読んでみた。
死と隣り合わせの生活の中で観た桜の「生き生きとした」美しさを描写している。

 「いったいどんな樹の花でも、いわゆる真っ盛りという状態に達すると、あたりの空気のなかへ一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻った独楽が完全な静止に澄むように、また、音楽の上手な演奏がきまってなにかの幻覚を伴うように、灼熱した生殖の幻覚させる後光のようなものだ。それは人の心を撲たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさだ。」




梶井基次郎といえば、『檸檬』も難解だ。
これも『青空文庫』で読んでみた。
やはり難解。それより、今なら、公安の尾行がつくかも知れない。

作品中、寺町二条にある果物屋さん、残念ながら数年前(2009/1)に廃業された。
直後の写真(過去記事)。
京都 寺町通りを歩く(4) 京都市役所 梶井基次郎「檸檬」の「八百卯」 藤原定家の京極邸跡 「本因坊」発祥の地






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