2017年6月1日木曜日

【河野洋平元衆院議長「安倍の改憲、納得できない」】自衛隊根拠9条明記で首相を批判 「安倍という不思議な政権ができ、その人が指さす方向に憲法を変えていくなんて納得できない」と、安倍を名指しで批判(日刊ゲンダイ) / 「安倍という不思議な政権」河野洋平元衆院議長が首相を呼び捨て猛批判 外交も「中国の嫌がることばかり」「9条は触るべきでない」 講演詳報 (産経)   



 かつて自民党総裁を務めた河野洋平元衆院議長が31日、都内で講演し、安倍晋三首相(党総裁)が9条への自衛隊の存在明記などの憲法改正に意欲を示したことに関し、「安倍という不思議な政権」と呼び捨てにし、「理解のしようもない」と首相を猛批判した。「自民党は改憲党ではない」とも強調し、若手のころに憲法問題を政策綱領から外そうと画策して受け入れられずに離党したとの経緯も赤裸々に語った。日中関係についても、「対中包囲網」の構築を図る安倍政権を「中国の嫌がることばかりやっている」と批判した。河野氏の発言の詳報は次の通り。
       


日中関係】

(略)

「・・・新聞なんか見ると、7月に首脳会談だと。でも7月にG20(20カ国・地域首脳会議)があって、そこで会おうという話を一生懸命しているだけだ。それを首脳会談というのかと思う。国際会議のついでに、というか折りに、首脳が別室でちょっと話すと言っても、せいぜい30分か1時間話をするだけで。そうではなくて、首脳会談はどちらかの首脳がどちらかの国を訪ねて、きちんとそのために話し合うという首脳会談をセットしなければ、首脳会談ができた(とはいわない)。これで3回目といっても、そんなものは3回目にならない

(略)

 「日本外交は、どうもやっていることは中国包囲網づくりだ。・・・」

 「一方では、南沙諸島、南シナ海問題で、例えばサミットで日本が音頭を取って中国を非難する。あるいは国際会議で日本は必ず取り上げて非難する。・・・そこまで出て行ってやる。正義感から言わざるを得ないのはそうかもしれないが、一方で北朝鮮問題では中国の力を借りたいんだと」

 「私は外交問題で何かこれをやろうと思ったら、そこにもっと重点を置いて集中して力を集めることが大事だ。多少、こちらを後回しをしてでも、この問題解決のために当たるということがどうしてできないんだろう。そんなことで問題が解決できるとは思えない。日本外交は一体どうなっているんだろうと。日本外交頑張れと言いたい。国民はテレビを見れば、北朝鮮のミサイルを見る。一方で、巨大な航空母艦が進んでいく。つまり、軍事的な問題は威嚇だから見せる。でも外交は見えない。だからどうしても国民は軍事的な動きに気を取られる」

(略)

「・・・サミットでのいろいろな日本の発言を見ると、どうも日本外交はお手伝いしているにすぎないんじゃないか。そうだとすれば残念だ。アジアの力というものをもっと大事にする。そしてアジアの力が世界とって重要な存在だと自覚する必要がある」

【憲法改正】

(略)

「まず憲法について、自民党という政党は、安倍さんは一貫して改憲を主張し、目指している政党だという。新聞にもやや勘違いがあるんじゃないかと思うが、自民党は改憲の党だと書いているところがあるが、これは間違いだと私は思う。
 というのは、自由民主党という政党は、自由党と民主党が合併してできた党だ。自由党は吉田(茂)さんがリーダーで、いわば護憲政党だ。民主党は鳩山(一郎)さんがリーダーで、改憲を主張する人が多く集まっていた。改憲を主張する人が多い民主党と、護憲を主張する人が多い、しかも長い間政権をとってきた吉田さんたちの勢力が一緒になり、改憲党になるはずがないじゃないか。護憲党と改憲党が一緒になって。改憲党になるとは到底思えない。それは大体、足して2で割りますよ。だからやったって2分の1の改憲か、2分の1の護憲かと私は思う。それが合併してできた自民党は一貫して改憲を主張する政党だなんて明らかにスタートは間違っている。認識が

 「・・・自民党ができたときに5つの文書があって、立党の精神とか文書があり、そのうちの3つの文書の中には改憲なんて1カ所もない。後の2つの文書の最後に、憲法問題について記されている。これは自主憲法の制定ですか。自主的改正でしたか。ということが書いてあるのは、文書の一番最後に書いてあるだけだ」

(略)

 「・・・私が総裁になったときに、自民党が野に下っているときに一時期なるが、総裁の時にやった仕事の一つは、政策綱領を変えて、国民とともに議論をしようというふうに変えて、改正という言葉を使わない、消したのが仕事の一つだった。後藤田正晴さんのリードでやった

「そんな歴史があり、最近の9条問題について、安倍さんの突如としてああいうことを仰る言い方には私は全く驚いている。理解のしようもないというのが私の気持ちだ。いろいろと議論やご批判もあるだろうが、私の個人的な主張を言えば、9条は触るべきでない。このままでも国民の皆さんは納得しているんだからこのままでよいと私は思う。人によっては、自衛隊を、軍隊と言うべき自衛隊の存在がある以上、書くべきだと仰る方もあるが、私はそれは間違っている。つまり、憲法はいつでも現実に合わせて変えていくんじゃなくて、現実を憲法に合わせる努力をまずしてみるというのが先じゃないのか

 「いや、もちろん世界情勢の変化とかいろいろあるから、そんなこと言ってたら日本を潰すよと仰るかもしれない。しかし、何でも憲法が事実自体がこうなんだから憲法をこう変えましょうと。実情がこうだから憲法をこう変えましょう。憲法が現実を追いかけて歩いているなんてのは、憲法にはひとかけらの理想がないのかと私は言いたくなる。やはり憲法というのは一つの理想が込められてなきゃならんと思っているもんですから、私はこの憲法問題については全く合意できない

 「しかも、安倍政権のもと、憲法問題をやるなんてことは、あり得ないことだと思っている。これはおそらく最近の日本の政治の中で、最も方向のこれまでと違う方向を指している政治の中で憲法を変えるのは、こんな方向で日本が歴代内閣がやってきた方向じゃない。それを安倍という不思議な政権ができて、その人が指さす方向に憲法を変えていくなんて、私は到底納得できないし、仮に国民投票に付されれば、全く認められるものではないと思っている。そんなことをやるくらいなら、それに費やす政治的エネルギーはほかにもっと使わなきゃならんことはたくさんあるだろうと思う。これについては合意できない」

 「自民党の中で小委員長をやって憲法問題をやや軽視したような文書を書いたと大変怒られたが、その時に自民党のベテラン議員の中には、オレがあの憲法をマッカーサーから預かってきたんだと。オレがやったんだ、怒られたり、憲法をつくるまでにどれくらい関わり合っていたかとか、嫌というほど聞かされている。それはよく分かるが、最終的に日本の議会で議論し、修正すべきところを修正して作ったものじゃないから、それを、ただただ借り物だと言って憲法を非難するのではなく、憲法を70年近く持って平和な国を作りあげてきたという国民の理解、合意をやはり考える必要があると思う。憲法を日本人が本当に日本人としてこなしきっているというか、完全に咀嚼(そしゃく)して使っていると私は見ていて、いろいろ意見は分かるが、依然として私は現行憲法は良いものだ、大事にすべきものだという私の気持ちに変わりはない







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