2012年9月6日木曜日

茨城大研究所の住民調査、東海第二原発「廃炉」が最多の46%

東京新聞
東海第二「廃炉」が最多 茨城大研究所の住民調査
2012年9月6日 12時34分

 茨城県東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発の将来などについて、村民や隣接自治体の住民に聞いた茨城大地域総合研究所の今年のアンケート結果がまとまった。「運転を停止したまま廃炉にするべきだ」との答えが最も多く、昨年より14ポイント増えた。県の東京電力福島第一原発事故などの対応については全体的に厳しい評価だった。 (井上靖史)
 アンケートは研究所が東海村のジェー・シー・オー(JCO)臨界事故から十年を過ぎたのを機に二〇一〇年、原子力と地域社会をテーマに始めた。まちづくりの方向性を考える基礎データを集めるのが狙い。質問に対し、答えを選択する方式で、福島第一原発事故が起きた昨年からは東海第二原発のあり方を質問項目に加えた。
 今回は六月に東海村、ひたちなか市、那珂市、日立市南部(多賀、南部支所管内)の有権者各千人、計四千人を無作為に選んでアンケート用紙を送付。七月、八月で千百九通を回収した(回収率は27・7%)。
 それによると、東海第二原発の今後のあり方について、「停止のまま廃炉を」が46%(昨年32%)と過半数に迫るトップ。二番目が慎重意見の「(耐震や防潮対策の)安全徹底まで再開させない」28%(40%)で、昨年とトップが入れ替わった。一年で慎重派が廃炉の方向へ傾いたとみられる。「早急に再稼働」は昨年と同じ5%にとどまった。
 今回、国内の全原発のあり方について初めて聞いた。「減らすべきだ」の回答が最多で35%、「ゼロにするべきだ」が33%。この二つを合わせると約七割が「減原発」志向だった。「現状維持」と「増やすべきだ」は合わせても16%だった。
 県による震災以降の原子力政策も新たに質問。食物や空間の放射線量測定については「やや」も含めて「良い」と「悪い」が40%ずつと、拮抗(きっこう)。子どもの健康調査や再稼働問題への対応、国への意見表明については「やや」も含めて「悪い」が五割前後を占め、評価が低かった。
◆市民が批判的になった 渋谷茨城大教授
 今回の結果について、アンケートに中心的に携わった茨城大人文学部の渋谷敦司教授は「市民が福島原発事故の経験を深く受け止め、従来国が(原発を安全として)提示してきたものを批判的にとらえるようになってきた。県行政も住民の不安に対し、どのような取り組みをするのかもっと明確に示していくことが課題になっている」と説明する。
 調査結果は研究所のホームページで公開している。
(東京新聞)

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