エッ 飯田哲也氏が橋下大阪市長とヨリを戻した!
と書いた、その飯田氏が「日経ビジネス」の「敗軍の将、兵を語る」に登場した。
「日経ビジネス」9月10日
飯田哲也「時間なく、組織票に負けた」の後半部分を
以下に転載する。
(ここから)
(略)
原発の世界は「談合社会」だ
なぜ、脱原発を訴えるのか。原子力がない方が良い社会になるということが、「世界の現実」になったからです。
日本の原発は、東芝と日立製作所、三菱重工業の3社の独占市場です。電気事業連合会と日本経済団体連合会に経済産業省がくっついた談合のような社会です。常識で考えれば、到底支えることができないシステムを守るために、様々な無理を続けています。
巨額の投資を続け、「核のゴミ」の存在はごまかす。そうしなければ、原発システムを続けることはできません。原発を維持しようとすれば、独占と中央集権、トップダウンのヒエラルキーがないまぜになった社会・政治構造から抜け出すことはできないのです。
一方、再生可能エネルギーによる社会は真逆の世界です。再生可能エネルギーの特徴は、地域独立型で小規模分散型であること。インターネットのように、オープンなネットワーク型のビジネスモデルなので、プレーヤーもインターネットのように続々と参入してきます。革新的、創造的な人や企業が高い競争力を持ち、新しいビジネルモデルを生み出す。経産省の役人が鉛筆をなめて作る計画とは違って、面白いビジネスモデルが次々と生まれてきます。既に、ドイツや北欧では現実のも
のとなっています。
原発御用学者は、「そうは言っても太陽電池メーカーの独Qセルズは破綻したじゃないか」と抵抗します。インターネットの黎明期に、米ネットスケープ・コミュニケーションズが破綻したからといって、「インターネットは終わりだ」と言った人がいたでしょうか。太陽電池は付加価値の低い商品ですから、中国メーカーが勝って当然です。先進国はもっと付加価値の高い仕事をすべきでしょう。ちなみに、ドイツの太陽電池導入量は、Qセルズの破綻後も増え続けています。
脱原発を実現するためのキーワードは、「民主主義」と「市場メカニズム」です。民主主義で言えば、首相官邸前の反原発デモが象徴的です。「脱原発法」を国会に持ち込む動きもありますし、地域での住民投票も広がりつつある。次の衆院選では、どこかの政党が「国民投票の実施」をマニフェストに掲げるかもしれません。
市場メカニズムで言うと、「原発のコストは原発が支払う」という当然のルールを厳格に守れば、原発は止めざるを得なくなります。電力会社が事故を起こしたら、金額の上限なく保険料を支払うルールを徹底した途端、保険会社が立ち行かなくなるためです。
新たな法律を作る必要はありません。現在の「原子力損害の賠償に関する法律」は、実質的には電力会社の無限責任を定めています。保険の支払金額は有限ですが責任は無限なのです。ちなみに、米国やドイツは有限責任です。日本の電力会社の経営者が常識で判断すれば、今の法律の下では原発を運転しないはずです。「東電を見ろ。事実上の倒産じゃないか。経営リスクが大きすぎる原発は動かせない」と。
今度の政権交代でまともな第3極が政権を取るかどうかが最大のポイントです。そして、新政権が最初にやるベきことは東電改革です。東電を、現在のゾンビ企業のままにすると、ほかの電力会社をのさばらせてしまう。
東電を破綻処理して、株主とメガバンクに責任を取ってもらう。破綻させた東電は、新しい受け皿会社の下で、発送電を分離する。
そうすれば、東電がデファクトになって、ほかの電力会社にも発送電分離の流れが広がり、再生可能エネルギー普及にもつながります。東電を今の姿にすると決めてから1年しか経っていません。まだ破綻処理をやり直すことは可能です。
橋下市長と刺し違える覚悟
山口県知事選挙の出馬前に、いったんは辞職した「大阪府市エネルギー戦略会議」のメンバーに復帰しました。橋下徹・大阪市長は、脱原発を訴えながらも、大飯原発の再稼働を認める形になってしまった。まだ橋下市長は、原発がない方が素晴らしい社会になるという確信が持てないのでしょう。
エネルギー戦略会議のメンバーは、私と古賀茂明・大阪府市特別顧問の2人で声をかけたメンバーばかりです。これからは、この会議の存続をかけて、橋下市長に大飯原発の再停止を要請するよう働きかけます。加えて、国が検討しているエネルギー・環境に関する選択肢の「原発ゼロ」を主張するように求めます。この2つだけは譲れません。たとえ橋下市長と刺し違えてでも、この2つを市長に決断してもらう。
橋下市長は、まだ原子力とエネルギー政策全体についての知識が不足しています。だから、発言の軸が揺れてしまう。橋下市長は、「トリックスター」的なキャラクターの持ち主です。根っこには、新保守主義というか、国粋主義的なテイストも持っていて、既得権益と戦うことに快感を覚えるタイプです。だから、関西電力や原子カムラという巨大な既得権益と戦うことが、橋下市長の志向にピタリとはまった。節電問題で関西電力とバトルを展開してきたのは、そのためです。
ただ、橋下市長は一方で、古い意味での「経済を大切にする」感覚を持っている。言葉では新しいこと言っていても、尾骶骨には20世紀的な感覚が残っている。だから、同じタイプの人たちから、「原発を再稼働しなければ経済がもたない」と言われるとグラグラと揺れてしまう。
21世紀型の「原発なき社会」が、軽やかで良い社会になることが、私の目にはハツキリと見えています。私はエネルギー政策において橋下市長のブレーンですが、市長とはまだ世界観を共有できてはいないのです。
既得権益と戦うというネガティブなパワーではなく、新しい社会を作るというポジティブなパワーに切り替えてもらえるように、最大の努力を続けていきます。
(おわり)
飯田氏が橋下と一緒に居る限り、飯田氏がどんなに熱意をもって語ろうが、
それはウソくさい、と思っている。
とにかく、ここでは、氏の言う、
譲れない二つの事柄と刺し違える覚悟、
これだけは覚えておこう。
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