[FT]米大統領選、オバマ氏を選ぶべき理由(社説)
(2012年11月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今年の米大統領選は盛り上がりに欠ける展開となった。
■揺らぐ米国優位に解決策見えず
オバマ米大統領は再選できるのか(11月4日、フロリダ州ハリウッドで演説する同大統領)=AP
当初の予想を覆してオバマ氏が圧勝した2008年に比べ、12年の選挙戦に臨むオバマ大統領も対立候補の共和党のロムニー氏も次期政権で実際に何をするのかについて、豊かなイメージを喚起するどころか具体的な知識すら与えていない。
しかし6日の投票は間違いなく、レーガン氏の勝利で規制緩和と供給重視の経済への転換が加速した1980年以来、最も重要な選挙と位置付けられる。米経済はようやく回復し始めたが、職探しをする多くの国民から見ると遅々として進んでいない。世界中に高度な知識が広まり、低コスト労働がすぐ手に入る状況で、米国の国際的な優位は揺らいでいる。またアフガニスタン、中東、北アフリカ、南シナ海などで米国の決断力が試される問題が待ち受けている。
こうした課題にいずれの候補者も納得できる答えを示していない。専門家の助言によるリスク回避の選挙運動に終始するあまり、素晴らしい未来、天然ガスの価格下落を生かすビジネスチャンス、エネルギー自給への展望など、希望に満ちた構想を描き出すことができていない。
■肝心の場面で指導力発揮できず
はっきり言えるのは両者の政治哲学の違いだ。オバマ氏は介入主義の立場を取る。医療保険改革を進めて国民皆保険をめざし、7870億ドルの景気刺激策により米国を大恐慌から救い、自動車産業に救済資金を投じて数十万人もの雇用を守った。また、まだ完全な実施には至っていないものの、1930年代以来の大胆な金融規制改革法(ドッド・フランク法)を成立させた。
その一方でオバマ氏は、奇妙なほど無関心な面もあり、とりわけ経済界との間の溝は深い。「チェンジ」をもたらすとの触れ込みだったが、肝心の問題でリーダーシップを発揮できなかった。オバマ氏の指示により超党派の財政赤字削減委員会が歳出削減を柱とする再建策をまとめたが、結局はお蔵入りすることになった。米国は来年1月1日に「財政の崖」と呼ばれる大幅な歳出カットと減税の失効に直面する。これを機に米国が景気後退に逆戻りする可能性がある。
外交面では、ブッシュ前政権の失策を受けて慎重に事を進めた。米軍をイラクから撤退させ、アフガニスタンでは駐留軍を縮小。しかし国際テロ組織アルカイダに対してはひそかに容赦ない追跡を続け、ビンラディン容疑者の殺害に至った。またアラブの民主化運動で正しい側につき、イランの核開発疑惑では厳しい経済制裁を科すよう国際社会を主導した。
■政治哲学でなく市場調査に基づく態度
一方、ロムニー氏の外交政策は決して安心できるものではなく、必要以上の好戦的姿勢が見受けられる。同氏の周囲にはネオコン(新保守主義)色の強い助言者がいる。だが、オバマ陣営が植え付けようとする他人の富を搾取する資本家というイメージも的外れだ。大手投資ファンド経営者やマサチューセッツ州知事といった経歴から浮かび上がるのは、政策立案・遂行能力にすぐれた人物像だ。
むしろ同氏の重大な難点を挙げるとすれば、共和党内で長らく指名候補争いを演じるうちに多くの矛盾点を抱え込んで、実際どんな政治をするのかが見えなくなったことだ。ロムニー氏は国防費を2割増額すると公約。一方ですべての所得層で減税を実施し、なおかつ財政の帳尻を合わせると述べている。このような錬金術は言い逃れにすぎず、持続可能な景気回復の処方箋とは思えない。
最近のロムニー氏は現実的な中道主義者という姿勢を取っており、頑として保守主義を貫く共和党員という当初のイメージよりはしっくりくる。しかし問題は、そのイメージも確信にはなり得ないことだ。くるくる変わる同氏の人格は、元来の政治哲学ではなく市場調査に基づくものだからだ。
■オバマ氏がより良い選択
オバマ氏は大型ハリケーン「サンディ」への対応で、果敢な決断をする政府が問題解決に有効なことを示した。金融危機発生から4年がたち、厳然とした格差がアメリカン・ドリームを阻むなか、米国は依然として賢明で改革主義的な統治体制を求めている。経済危機と背中合わせの政権運営に取り組んできたオバマ氏がより良い選択肢だと思われる。
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ロムニーへの評価:
「くるくる変わる同氏の人格は、元来の政治哲学ではなく市場調査に基づくものだからだ。」
日本にもイッパイ居るね、こうゆうの。
最近の民主党でも一部で、
中道リベラルの席が空いているので、みんなでそこに座ろうというヤカラが出てきたようだ。
その「立ち位置」なら票が取れそうだ、というスタンス。
そういうの、まだまだイッパイいるね。
代表格(↓)
森永卓郎「橋下さんの判断基準は『国民にウケるかウケないか』ということだけ。石原さんとのことも、この人と組んだら国民にウケると思えば組む、ウケないと思えば組まない」(文化放送「大竹まことのゴールデンラジオ」11月5日)
— きっこさん (@kikko_no_blog) 11月 5, 2012
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