WSJ REAL TIME ECONOMICS 2013年 9月 18日 13:08 JST
米の男女賃金格差の縮小ペース鈍る
昨年の米国女性の賃金は男性を100とすると76.5だった。過去10年間ほとんど動いていない男女の賃金格差は昨年も縮まらなかった。
米国勢調査局が17日発表したところによると、2012年のフルタイムの男性の年間所得(中間値)は4万9398ドル(490万円)、女性は3万7791ドルだった。11年の所得は男性100に対して女性は77だった。
賃金格差は1980、90年代は着実に縮小していたが、00年代に入るとそのペースが鈍った。これは、格差を縮小させてきた二つの要因―教育と法律―の影響力にやや陰りが出てきたことによるのではないかと見られる。
コーネル大学のフランシーン・ブラウ経済学教授は「女性の教育が高まることは確かにプラスだが、賃金格差の傾向を完全に変えるには十分ではない」とし、「本当に輝かしかったのは、格差が一貫して縮小していた80年代だ。その後は進展はしているものの、断続的で、均一ではない」と指摘した。
80年代の女性の賃金は男性の100に対して60.2、90年代は71.6に増加した。この期間に女性はより高い教育を求め、より高い賃金の職業に就き、仕事に回す時間が増えた。女性はまた、63年同一賃金法や教育の機会均等措置、性的差別の禁止などの恩恵にもあずかった。
今回の統計はより若い勤労者の進出も反映している。12年の時点では15―24歳の女性の所得は男性100に対して88だった。25―44歳ではこれが81に、45―64歳では74に低下している。
米国の大学では今や女性が男性よりも多いが、経済学者らは賃金に依然格差があるいくつかの理由を挙げている。その一つは時間で、子どもなど家族の世話のために女性の平均的な働く時間は男性より少ない。
アナリストは、年間所得の比較は複雑な現実の荒っぽい尺度の一つだと警告している。生の賃金格差の数字は、女性は男性がするのと同様に賃金交渉をしているのかといった、生涯にわたって賃金に影響する、意味のある微妙な差異を反映していないという。賃金比較はまた、医療費給付や、給与よりも仕事の責任を果たすことや柔軟な勤務時間の方を重視する一部の女性の選択といった、目に見えない事柄を無視している。
また、男性が大学でより高い賃金につながる専攻を選んだり、高い学位を求めたりする傾向が強いことも一因だ。ワシントンのリベラル系の団体である米国進歩センター(Center for American Progress)のサラ・ジェーン・グリン副所長は「女性の学位取得は進んでいるが、必ずしも高い給与につながる分野の学位ではない」と指摘した。
差別は依然として一要因となっているが、これを立証し、測定するのは困難だ。ワシントンのシンクタンク、ケイトー研究所のシニアフェロー、マイケル・タナー氏は「ある水準の差別が残っていることに疑いはない」と語った。
ウェブデザイナーのメリティス・バシュニク氏(30)には、仕事を始めたころにこのような差別の経験がある。彼女は07年、彼女と同じ教育を受け同じ経験のある男性の友人とともに、デンバーにあるサイトデザイン・アプリ製作の会社に入った。4年後、彼女はこの男性から年間所得が自分よりも2万ドル多いことを教えてもらった。会社の規定では従業員同士で賃金について話し合うことを禁じているため、彼女はこの問題を上司に提起しなかった。彼女は昨年12月にこの会社を辞め、デンバーの別のテクノロジー企業イフェクティブUIに移った。
彼女は、イフェクティブUIでは「賃金について話し合ったあと、私と同じ経験の持ち主なら男女を問わずにもらえる、非常に公平な賃金のオファーを受けた」と話した。
研究によれば、彼女の経験は特別なものではない。米国大学婦人協会(AAUW)が1年に発表した研究結果によると、賃金格差は大学卒業後1年で現れる。同じような高レベルの大学の工学部を卒業してから1年後の年間給与は、男性が5万5142ドルだったのに対して女性は4万8493ドルにとどまったという。比率にすると男性100に対して女性88となる。
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