2009年6月10日水曜日

1871(明治4)年4月7日 ドンブロウスキ、司令官就任 

1871(明治4)年4月7日
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・仏、ヴェルサイユ軍、ヌイイにむかう橋・道路を占領し、ヌイイの旧庭園まで進む。
朝、ヴェルサイユ軍はヌイイのバリケードと街路を砲撃。4時半頃、砲撃が止むと、ヴェルサイユ兵は一団となって橋に進出。連盟兵はそれを阻止しようとして将軍2人を殺傷するが、数を誇るヴェルサイユ兵はヌイイの旧庭園まで進出。
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・ポーランド人ヤロスラフ・ドンブロウスキ、ベルジュレに代わってパリ市総司令官(パリ防塞地区指揮官)に就任。前線を駈け廻り、逃走する兵士を集めて、戦闘に赴かせ、ドンプロフスキは、数時間のうちに勇気と軍事的能力を認められ、兵士たちの人気を博す。
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参謀部は、ベルジュレをドンブロウスキと交替させる執行委員会決定に抗議し、国民軍もいくらかの不信の念を表明するが、ヴァイヤン、ドレクリューズがドンプロウスキを擁護し、執行委員会は彼がどんな人物かをパリに紹介。コミューンは彼のことを正確に知らないので、彼についての伝説を作り上げるが、実際には彼はすぐにその伝説を凌ぐ才能を発揮する。
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ドンブロウスキともう1人の有能なポーランド人将校ヴロブレフスキは、防御だけにとどまらず、ときどき攻撃を行い、敵に打撃を与え、敵陣地を占領することさえあるが、彼らの努力も、最高指導部の無能の為に実を結ぶことがない。
パリには火薬や弾丸の莫大な貯蔵があり、猛砲撃を浴びているヌイイ固守には、砲兵の応戦だけでも可能であるのに、クリュズレは、弾薬濫費として叱責。250人で重要陣地を守備するドンブロウスキが援兵を要求しても、僅か300人が派遣されたに過ぎない。4月17日、彼は絶望的な抵抗の後、若干の重要地点において後退を余儀なくされ、25日には、ヴェルサイユ軍の圧迫に耐え得ず、遂にヌイイから撤退。
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クリュズレは、ベルジュレを虚栄的な軍事活動を行なった命令不服従の廉で糾弾、逮捕状態のまま12日の会議決定により、ランヴィエ、プロト、ランジュヴァンで構成される委員会により調査されることになる。
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人々は、戦闘がもちこたられる事を希望するが、ヴェルサイユ軍は、ヌイイ、ルヴァロワ、アニエール、ブーローニュの森、イシー、ヴァンヴ、ビセートル、クリシー、パッシー、ピノー門、テルヌ、グラン・ダルメ通り、シャン・ゼリゼ、凱旋門、サン・クルー、オートイユ、ヴォージラール、マイヨー門を一斉に攻撃。
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「ドンブロウスキーはわずか二、三千、ときにはそれを下まわる兵を率いて、たえず襲撃してくる正規軍の一万以上の兵に応戦していた。・・・
ドンブロウスキが参謀部をおいていた建物の近くの、ペロネのバリケードでは、数夜にわたってヴェルサイユの砲弾の嵐が吹きあれ、まるで地震のようで、大海が空からふってくるかと思われるほどだった。」(「ミシェル・ルイーズの日記」)。
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○[コミューン群像:ヤロスラフ・ドンブロウスキ]
ジトミールで貴族出身の官吏の家庭に生まれる。
1855年ペテルブルクのコンスタンチン士官学校卒業後、カフカーズに派遣。1859~61年ペテルブルクの陸軍大学で学び、ここでロシアやポーランドの革命家たちと接近。
62年2月からワルシャワで勤務、蜂起準備をするポーランドの革命家たちの地下活動に参加。62年5月から中央国民委員会委員となり革命家たちの軍事組織指導者の1人となる。62年8月、逮捕され、64年ポーランド蜂起当時は銃殺判決をうけているが、のち15年の徒刑に軽減。
64年12月モスクワで脱獄、妻と共に国外脱出。65年パリに行き、ポーランドの革命的亡命者団体の活動に参加。逮捕されるが、1870年7月釈放。
共和制宣言後フランス軍に入り、対ドイツ戦争に参加する積りであったが逮捕され、ガリバルディの仲介により釈放。71年2月リヨンに行く。
3月18~21日パリに戻り、国民軍中央委員会委員と軍事情勢を討議。ドンブロウスキは直ちにヴェルサイユを占領し、ティエール政府を逮捕し、国民議会を解散し、新しい選挙を行う事に賛成する。
4月2日、志願して国民軍に入り、第2軍団長に任命。4月7日から将軍としてパリ防塞地区司令官、4月末からコミューン第1軍を指揮し、5月5日からセイヌ右岸軍事行動司令官に任命。
事実上、最高司令官として、パリ市外とヴェルサイユ軍侵入後はパリ市内とで、ヴェルサイユ軍に対する戦闘行動を指揮。5月23日、バリケード戦で致命傷を受け没す。ペール・ラシェーズ墓地に埋葬。
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・コミューン執行委員会、勝手気ままの逮捕を止めさせる措置についての決定。
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軍事代表委員クリュズレ、妻帯者を含む19~40歳の全市民の動員(4月4日付法令の改訂)決定。クリュズレは、築城専門家たちが陸軍省に出頭するよう呼びかける。
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to be continued

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