1871(明治4)年4月8日
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・コミューン、バリケード構築委員会設置についての決定を採択。
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・フリー・メーソン、ヴェルサイユとコミューンとの武装闘争中止を呼び掛ける。
ティエールは、休戦にも特赦にも同意せず、共和政と市条令についての漠然とした約束と調子のいい言葉を口にするにとどまる。
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■調停派のこれまでの活動纏め。
調停派:ことは、そもそも恐るべき誤解から始まったと信じている人々。
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①4月4日、工業家と商人が、「共和政の維持と解放、パリ自治体の自主的権利の承認」というプログラムをもって、産業組合会議全国連合を創設。
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②学生街では教授、医師、弁護士、技師、学生らが、世俗的・民主的な共和政、自律的コミューン、コミューンの連盟を要求し、ティエールへの公開状を街に掲げる。
「貴下は反乱だと信じておられるが、明確で誰もが抱くようになっている信念に直面しているのだ。
パリの大多数の市民は、議論の余地なきものとして、また最高の権利として共和政を欲している。
パリは議会のすべての振舞いのなかに、王朝を再建しようという下心を読みとったのである」。
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③フリー・メーソンは、「貴重な血を流すのをやめよ」との訴えをヴェルサイユとコミューンに送る。
4月末、フリー・メーソンはパリ・コミューンの側に立つと決定。
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④幾人かの元区長・助役が、パリ諸権利共和主義同盟を創設し、共和政承認とパリの自治権、パリ市守備を国民軍のみに託すること、コミューン議会が全議決を要求。
クレマンソー、ロクロワ、フロケなどヴェルサイユ国民議会に辞表を出したパリ選出代議士が、この区長らに合流。
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⑤共和政確立、パリの権利の承認という点で一致する他の諸グループも形成。
殆んどのコミューン派の新聞がこのプログラムを掲載し、急進派新聞もこれを受け入れる。
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ルイ・ブランの策動
この日(8日)、これに対し、ヴェルサイユ国民議会に残ったパリ選出代議士ルイ・ブランが、パリを悩まそうとの目的で、この急進派に語りかける。
「同僚の名において、歴史を滑稽に作り変えてしまっているといえる、偽善に満ちた調子の、そしてまた彼がそれを通じて自分のひからびた心を覆いかくしているような、くだくだしたセンチメンタルな文章で書いている。」と、リサガレーはこれを皮肉る。
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ルイ・ブランは、「多数の者の誰一人とて共和政の原則を問題した者はいない。
・・・蜂起に参加した者についていえば、外国軍隊の占領という災禍に国内の不和という災禍を加えることによって、その災禍を深刻にし、長びかせるということだけを考えて身をおののかせるべきであろうと、われわれは彼らに言おう」と、書く。
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ティエールの組合連合代表(調停派)への回答。
(ティエール)「蜂起側が最初に武装を解いたとしても、議会側は武装を解くわけにはいかぬ。」。
(調停派)「しかし、パリは共和政を望んでいる。」
(ティエール)「共和政は存在している。すなわち私の名誉にかけて、私が権力をとる限り共和政は倒れることはない。」。
(調停派)「パリは自治体の自主的権利を欲する。」
(ティエール)「議会はその権利をすべての地方自治体に与える法律を準備している。パリの権利はそれ以上のものでもそれ以下のものでもない。」。
代表は全般的特赦と軍隊廃止の妥協案を読みあげ、ティエールは彼らの読むに任せ、表面上は反対せずにいたので、代表は和解の基礎を発見したと確信してパリに戻る。
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ヴェルサイユ国民議会は全地方自治体に首長を選挙する権利を承認したところであったが、ティエールは、この権利は人口2万人以下の都市には認めないように要望。
議員たちは、投票済と主張するが、ティエールは、共和政の下での秩序維持は難かしいことだから、それだけ権力強化が必要と固執し、辞職すると脅迫し、再議決を強要。
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・この日、ピエール・ドニ(ブルードン主義者)が、「ル・クリ(デュ・プープル)」紙上に、ヴェルサイユおよびフランスとの協定案を公表。
「パリ・コミューン」とは何かの一つのイメージを示す。
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「第一条。
パリは今や自由都市である。
フランス政府は一八七一年三月一八日に遂行されたコミューン革命の正統性を承認する。フランス政府は将来にわたって、この都市にたいする権力的干渉をいっさい断念する・・・。
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第二条。
パリの市域は、コミューン自由権の享受を拒むセーヌ県内諸市町村を除くところのセーヌ県を包含する。
この市域にはパリ・コミューンと連盟関係を結び、パリ・コミューンの利点を享受したい旨表明する隣接諸県のあらゆるコミューンが付け加わりうる。
パリ・コミューンはフランスのその他の地域における蜂起による挑発を自ら禁じるが、しかしコミューン思想を模範および宣伝手段を通じて普及させる権利を留保する。
政府の側では、こうした普及にたいする妨害を自らに禁じる・・・。
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第三条。
パリおよび連盟関係にある諸コミューンはフランスの都市であり続ける・・・。
パリはフランスの一般諸経費のうちの分担分を、ただし要塞への兵器配備、鉄道・道路ないし航行路のための支出、教育、海軍、公共事業にかんしてのみ、支払う。しかしパリは、内務省予算、大蔵省予算・宗教予算についてはまったく分担しない・・・。
戦争が起きた場合にはパリはそのために動員・編成され、パリの大砲で装備した国民衛兵の割当兵員を提供する。
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第四条。
パリは立法議会に代表者を送る。
パリは、立法議会がコミューン憲法と矛盾しない限りにおいて、その議会の議決および勧告を受け入れる。
パリは、投票を通じて表明される利害関係や要求に応じてその条文を修正することを条件として民法の総則を受け入れる。
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第五条。
パリは、フランス政府の干渉をいっさい受けることなく、コミューン制度にもとづいて自ら行政・統治にあたる。
パリは、パリのあらゆるレヴェルの公務員および司法官を選挙によって選ぶ。
パリは単独の予算を所有する。
パリは、都市の防衛および治安を任務とする国民衛兵以外の軍隊をもたない・・・。
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第七条。・・・外国からパリに向けて送られてくる商品のフランス内部の通過は無税である・・・。
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第九条。
・・・(政府は)コミューンに派遣される一名の代表によって代表される・・・。
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第一二条。
パリ、フランスおよびヨーロッパのために、またそれらの名誉と安全のみを目的として、誠意にもとづいて取り決められた本協定を、契約当事者双方は忠実に遵守することを誓う。
本協定は、やがて平和的な合州国連邦を形成するに至ることを署名者が期待しており、かつ、パリ・コミューンがその保護の下に身を置く、友好的諸政府・共和国に伝達される。」
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・アルジェリア。蜂起拡大。新しい闘士たちが武装闘争に参加。
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・ロンドン。クラーケンウェル・グリーンにおけるコミューン支持のデモと集会。
インタナショナル総評議会はパリの労働者同職組合のために、基金募集開始。
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to be continued
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