社会学者見田宗介さんが、6月14日付け「朝日新聞」(夕刊)に自著「現代社会の理論」(岩波新書、1996年)に関するインタビューに関連して、原発事故に触れています。
示唆的ではありますが、先進国の勝手な論理の様にも思えます。
「現代日本の」社会状況という限定的な捉え方なんでしょう。
成長と安定、原発と環境共存(環境問題)、・・・。
オール電化のキッチン(これは、実際に売れていたかどうかはしりませんが)などのように、欲望を刺激して、企業や個人に電力を使わせ、原発をどんどん建設する、というようなサイクルからは脱却してゆかないといけない。
煽っておいて、ないと大変だぞと不安感を増幅させる、そんな「見えざる手」に注意しなければならない。
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福島第一原発の事故で驚いたのは、少し後の世論調査です。あれだけの事故でも、半数以上の人が原発を続けようと答えていた。原発に依存的な構造ができてしまっているのです。成長を続けなければ社会が成り立たないかのごとき成長依存的な社会構造、そして精神構造が根底にある。
一般に生物は、環境に適応したことで個体数が増え、続いて爆発的な増加を遂げたあと、環境の限界に直面して横ばいの安定期に入ります。そのように環境と共存する術(すべ)を持ちえた集団が、生き残る。
地球という有限な環境下での人間も同じことです。実際統計を見ても、世界人口は増え続けてはいるものの、70年ごろを境に増加率は急激に減少している。人間社会は近代という「爆発的な増加期」を経験した上での安定の局面に入ったと僕は見ます。そういう歴史の「変曲点」を通過したのに、人々はまだそのことに気づいておらず、成長に依存するシステムと心の習慣から脱していない。これが現代の矛盾です。
安定期に転じた社会で人々がアートや友情のような、資源浪費的でない幸福を楽しんでいる。それは本当にすてきな社会です。・・・(略)・・・
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