鶴見俊輔さんの、文明史観から見た原発事故に対する考え方。
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哲学者の鶴見俊輔が、東京では久々に大聴衆を前に講演した。4日に開かれた「九条の会」主催の講演会に登壇し、2千人の参加者に語りかけた。
鶴見は米国の日本への原爆投下から説き起こした。
「科学は悪用してはならないというヒポクラテス以来の伝統が断ち切られ、科学は新しい段階に入った。」
原爆と原発の連続性を示唆しながら
「国家予算によるビッグサイエンスは、自国、他国の数百万という人々の上に覆いかぶさることになる」
と話した。
さらに
「日露戦争以来、大国になったつもりで文明の進歩をひたすら信じ続けてきた日本人は、敗戦後も目をそらしてきた根本問題に(震災と原発事故で)直面している」
と指摘。
「受け身の力をここで超えること。
九条は、何らかの行動、態度の表明で裏付ける方がいい。
不服従の行動の用意があるとさらにいい」
と結んだ。
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****6月21日付「朝日新聞」夕刊
(考えたこと)
原発を原爆と結びつける見方は、村上春樹さんとも通ずる。(コチラ)
核の脅威、恐怖の伝道師たるべき日本人が、平和利用という美名・便利さ・効率化に幻惑され、地震列島たる日本に原発を建設し続け、取り返しのつかない今回の大事故を引き起こした。
歴史は繰り返しても、一度目は悲劇、二度目は喜劇でしかない。
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漱石が批判し続けた上滑りな明治文明の延長上に日露戦争の「勝利」があり、その必然的な帰結としての敗戦であったのに、敗戦後は直視すべき根本問題をカラリと忘れて成長路線をひたすら走り、ここに至ってしまった。
これは、見田宗介さんの考えにも通ずる。(コチラ)
さて、「直視すべき根本問題」とは・・・?
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