2012年6月30日土曜日

6月29日(金)夜 首相官邸前での原発再稼動抗議デモ ニューヨークタイムズの報道


毎週金曜日に行われている原発再稼動抗議デモ
昨日(6月29日)は、これまでで最高の盛り上がりだったようだ。
たくさんある報道の中でも、ニューヨークタイムズの報道が良かったので、下記に転載させて戴く。
勿論、翻訳版である。
ニューヨークタイムズの見出しは
In Tokyo, Thousands Protest the Restarting of a Nuclear Power Plant
というもの。

【 29日金曜日夜、数万の人々が首相官邸前に参集、猛抗議 】
投稿日: 2012年6月30日 作成者: admin
「『大きな音』、しかし抗議行動は礼儀正しい日本人そのものの、整然としたもの」
「整然と解散し、立ち去った後にはごみひとつ落ちていなかった」
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 6月29日

反原発のスローガンを叫びながら、ドラムを叩きながら、数万の人々が29日金曜日夜首相官邸前に参集し、原子力発電所の再稼働に対し、これまでで最大規模となる抗議行動を展開、一般市民の怒りが爆発しました。

警察が非常線を張る中、女性、小さな子供たち、仕事帰りのスーツ姿の男性、様々な姿の人々が国会議事堂と首相官邸の間の広い通りを埋め尽くし、口々に
「ノー・モア福島!」
の叫び声をあげていました。

参加者の人数は主催者側の発表で約150,000人、これに対し警察側の発表は17,000人とばらつきがあります。
地元のテレビ局などは、参加者数を20,000~45,000人と推定していますが、いずれにしても1960年代以来、東京では最大規模の抗議行動となりました。
長く人々が政治に対して無関心であった日本においては、どのような抗議行動も珍しいといわなければなりません。
しかし日本政府の野田首相が今月、関西地区の大飯原発の再稼働を指示して以来、首相が原子力発電に対する人々の懸念と不安を、無視していることに対する憤りは膨らむ一方でした。

大飯原発は西日本にあります。
福島第一原発の事故により、日本国内にある稼働可能な50基の原子炉がすべて停止した中、大飯原発は日本で最初に再稼働する原子力発電所になります。
原子力発電は日本の国内の電力の30パーセントを供給していました。
福島第一原発の事故では、地震と津波が安全設備の要である冷却装置を稼働不能にしてしまい、3基の原子炉がメルトダウンしました。

野田首相はうだるように暑い日本の夏、電力不足により停電が発生し、日本の産業が打撃を受けるのを避けるため、大飯原発の2基の原子炉の再稼働を指示した、と語りました。
しかし世論調査により日本の国民の3分の2は再稼働に反対しており、政治評論家の多くは、大飯原発において十分な安全対策がとられていることを納得させるには至っておらず、一般の反発を警告していました。

金曜日多くの人々が、野田首相は強大な権限を持つ官僚と大企業の経営者が、国民の意思を無視して密室で協議し何もかも決めてしまう、「いつもの日本の姿」に戻そうとしている、と非難しました。
幾人かの人々は、人々の願いを踏みにじり再稼働を決めた横暴さに対する怒りが、政治的な目覚めのきっかけになった、と語りました。
だから今、こうしてデモ行進しているのだ、と。

「今まで日本人は、中央政府に直接抗議することはありませんでした。」
1才の息子を連れて抗議行動に参加した29才の主婦、中島ようこさんがこう語りました。
「でも今は違います。はっきりと意見を口にする必要があります。でないと政府は、私たち国民を危険にさらしてしまいます。」

「安全対策を強化せず、そのまま再稼働を許すなんて狂っているとしか言いようがありません。」
初めてデモに参加した、主婦の山崎なおみさんはこう話しました。
「安定した電力供給と職を確保するため、原発が必要だ、という話も分かります。でも日本の政府機関は、今や私たち国民を守るつもりが無いことが明らかになりました。もう政府は信じられません。」

こうした政府への不信が、3月以来毎週行われてきたこの抗議行動の参加者を瞬く間に増やしたのだ、と主宰者は語りました。
この抗議行動は数百人の規模から始まりました。
しかし野田首相が再稼働を指示するや、たちまちに数千人の規模に膨らんだ、と主宰者のひとり、東京を活動拠点とするイラストレーターのミサオ・レッドウルフさんが語りました。

日本政府が福島第一原発の事故後、国民の健康を守るための適切な対策をとらず、原子力発電所の再稼働ばかりを急いだ、それに対する不満がこの抗議行動につながった。東京に拠点を置くエネルギー政策グループ、持続可能エネルギー政策研究所の飯田てつやさんがこのように指摘しました。
「これは人々の怒り、そして政府の信頼失墜を表しています。」
「この動きが後戻りすることは無いでしょう。こうした運動は、今後も続いていくものと思っています。」

野田首相自身は、この世の抗議行動に動じていないかのように振る舞いました。
「大きな音だね」と、首相官邸に向かう道すがら、傍らにいた記者にこう漏らしました。

この夜の抗議は確かに大きな音を立てていたかも知りませんが、その行動は礼儀正しい日本人そのものの整然としたものでした。
多くの場所で、抗議行動に参加した人々が、通りかかった通行人に道を譲る姿が目撃されました。
そして歩道からはみ出さないよう、気を使っていました。

午後8時ね抗議行動が予定通り終了すると、主宰者は盛ん視野に向かい、直ちにメガホンを使うのを止め、速やかに退去するよう指示しました。

彼らが立ち去った後には、ゴミひとつ、落ちてはいませんでした。

http://www.nytimes.com/2012/06/30/world/asia/thousands-in-tokyo-protest-the-restarting-of-a-nuclear-plant.html?_r=1&partner=rss&emc=rss
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この記事を訳していて、最後の部分にさしかかったとき、涙がこぼれそうになりました。
参加した方々の真摯な思いと、正しい態度で正しいことを伝えようとする熱意。
そしてその真実の姿を、世界に向け伝えようとする「真のジャーナリズム」。

3.11直後、世界が感動した被災地の人々の「礼儀正しさ」と「思いやり」、9日夜、デモに参加した人々にそれと同じ「礼儀正しさ」と「思いやり」をニューヨークタイムズが認めてくれたことは、この抗議運動の「歴史」にとって非常に意義が大きい、そう言えるのではないでしょうか?

またひとつ、翻訳しながら感動してしまう記事と出会うことができました。

取り急ぎ、推敲なしの一発翻訳で掲載いたしました。
文章の多少の乱れは、ご容赦ください。
なお、この緊急掲載をもって明日の掲載にかえさせていただきます。
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以下、写真は毎日新聞、共同通信、赤旗新聞より。




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