2016年4月22日金曜日

超富裕層の「税金逃れ」が止まらない!~これが「パナマ文書」問題の本質だ (深見浩一郎 現代ビジネス) ; 「民主国家の持続可能性に関わる問題」


 (略)

大衆が問題に気付いていない

タックス・ヘイブンにペーパーカンパニーを設立し、本来課税されるべき収益をそこへ不正に蓄財したとしても、パナマ文書のような情報流出がない限り、その事実を把握することは困難だ。

問題の根源はこの秘匿性にあるが、しかしそれ以上に問題なのは、この租税回避の被害者自身に、自分が被害者であるという自覚が全くない事だ。

租税回避によって税源が密かにタックス・ヘイブンに移動すれば、本来の税収を確保することができず、結果的に社会保障費などが各国の財政を圧迫する。

それがまさに今日、世界の先進国で起きていることであり、そのために世界各国では社会保障費の削減と増税の議論が起きている。わが国でも社会保障のための消費税増税が議論を呼んでいるが、このように租税回避は、巡り巡って一般庶民の懐を直撃しているのだ。

すなわち、パナマ文書は庶民にとって極めて身近な問題なのだ。我々が頼りにする民主国家の持続可能性に関わる問題なのだから。

最近、世界の下から36億人分の資産と同額の資産を、たった62人の超富裕層が保有していることが報道された。その額、じつに206兆円。この低金利時代において、彼らの資産はこの5年間で44%も増大したという。超富裕層だけに向けられた、極めて有利な投資案件があるからだ。それが租税回避だ。

今日、世界では格差が拡大し、著しい不公正が生じているが、この主要な原因の一つは、まさにこの租税回避にあるのだ。

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