2017年6月3日土曜日

「野に雑草という名の草がないように、工場には雑用という名の仕事はない」 小関智弘 (鷲田清一『朝日新聞』折々のことば2017-05-27)

野に雑草という名の草がないように、工場には雑用という名の仕事はない
小関智弘

 雑草という名の草はない、との趣旨の昭和天皇の言葉はよく知られているが、長く旋盤工として働いた作家は、機械に油を注(さ)し、コークスを熾(おこ)し、焼き入れをするなど、工場では当たり前の作業のすべてが、「機械や鋼の生命(いのち)を知るきっかけ」になると言う。
人についても同じ。
誰のいかなる生涯も、時代を触診するときの貴重な証言としてある。
「どっこい大田の工匠たち」から。

(鷲田清一『朝日新聞』折々のことば2017-05-27)
『朝日新聞』2017-05-27


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