今日(8月14日)の「朝日新聞」一面《いじめている君へ》は金子勝さん。
よく言ってくれました。
《いじめている君へ》金子勝さん
■今の大人と違った生き方を
子どもは大人の背中を見て育つと言いますが、君には大人のまねをしないでほしいと思っています。
ある国会議員が、高額所得の芸能人の母親が生活保護を受けていることを国会で問題にしました。その芸能人は法律に違反していたわけではありません。でも、人気商売である芸能人が反論できないのをよいことに、テレビや週刊誌からも袋だたきにされ、多くの人がその騒動を楽しみました。
君がいじめている子と似ていませんか。逃げ場がどこにもなく、先生も守ってくれず、抵抗する手段も限られているからです。
その議員は、親族の扶養義務を強めるべきだと主張しました。でも、そんなことをされたら、たちまち生活に困ってしまう弱い立場の親子だっているんです。
もう一つ、時事問題を挙げます。東京電力福島第一原発の事故では、16万人が避難しました。放射能の不安におびえながら逃げ場のない人たちもたくさんいます。自殺者も出ました。
でも、東電の経営者たちは明確な責任を問われないまま。やはり責任があるはずの原子力安全・保安院の人たちは今も原発の「安全性」を審査しています。私には、いじめ問題への対応が甘かった大津市教育委員会とダブって見えます。
弱い人はいじめられ、追い込まれる。強い人は何をしても許され、平気でいられる。こんな社会を今の大人は作っているんです。なんかおかしいですよね?
君はこの新聞を読んでいないかもしれません。私は実は「いじめている大人」が読んで、間接的に君に届くのを期待しています。どうか、今の大人とは違った生き方をしてください。
(かねこ・まさる=経済学者)
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「弱い者」の憎悪心をかきたて、果ては「弱い者」に「弱い者」を攻撃させようとする。
そんな手口に騙されぬ大人になろう。
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