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南海トラフ・首都直下地震 製油所8割が機能不全に 経産省調査
2012.8.24 07:15
東海、東南海、南海などの地震が連動して起きる「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」によるエネルギー供給への影響を調査してきた経済産業省が、両地震が発生した場合、国内の約8割の製油所施設が「機能不全に陥る」とする分析結果をまとめたことが23日、分かった。これを受け、同省は7月末、各製油会社に貯蔵タンクなどが両地震に耐えうるか調査を指示したが、市場や消費者のパニックを懸念して秘密裏に実施した。
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同省は、政府中央防災会議の作業部会が7月19日にまとめた両地震の中間報告を独自に分析。専門家の意見を参考に全国27カ所の製油所について調べたところ、太平洋側の海岸近くに集中する22施設で「影響を受ける」との結果が出た。耐震強度に現行法上の問題はないものの、「巨大地震による液状化現象などが加われば、相当程度、機能不全に陥る」と結論づけた。
同省関係者は「石油貯蔵タンクは数十年に一度の地震に耐えられるが、百年に一度の巨大地震は想定していない」と断言した。
経産省は製油会社の調査も踏まえ、貯蔵タンクなどの耐震化スケジュールを来年3月までに決める方針。耐震化に必要な設備費の補助も平成26年度に予算化する方向で調整している。
中央防災会議作業部会の中間報告は、高さ10メートル以上の津波が11都県を襲うと想定される南海トラフ巨大地震を「東日本大震災を超え、国難とも言える巨大災害」と位置付けた。また、発生確率が「30年以内に70%」とされるマグニチュード7クラスの首都直下地震については「わが国の存亡に関わる」としている。
昨年3月11日の東日本大震災時には、仙台市など、全国3カ所の製油施設が津波や火災で半年から1年間も操業を停止。生産能力が地震発生前と比べて3割もダウンした時期があった。
ただ、ガソリンを災害時に有効活用するための石油備蓄法や石油需給適正化法の改正案などの関連法案は今国会成立が危ぶまれており、危機管理の行き届かない状態が続きそうだ。
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【用語解説】南海トラフ巨大地震と首都直下地震
南海トラフ巨大地震は駿河湾から九州沖に延びる海底の溝を震源域とする。東海・東南海・南海の三連動も予想されており、巨大津波や強い揺れで東日本大震災を上回る人的・物的被害が生じるとみられる。首都直下地震はマグニチュード7クラスの揺れを南関東にもたらす。政府は南海トラフ巨大地震の予想死傷者数を8月下旬に公表する。
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