東京新聞
運転停止のベルギー原発 原子炉ひび8000カ所に
2012年8月18日 夕刊
【パリ=野村悦芳】ベルギー北部のドール原発で原子炉にひびとみられる異常が見つかり運転が停止されている問題で、オランダの同じ企業が製造した原子炉が欧米などに存在していることから、ベルギーの原子力規制当局は十六日、ブリュッセルで各国の当局者に状況を説明した。
異常が見つかったのは、ドール原発に四つある原子炉のうち3号機で、六月に実施した超音波検査などで多数のひびの存在を示す結果が出た。人体や環境への影響はないとしている。
欧州での報道によると、ベルギーの当局者は十六日、ひびは二センチ前後で、金属製の容器の八千カ所にわたって存在していると明らかにした。ひびが建設当初から存在していた恐れも指摘した。運転再開のめどは立っておらず、容器の交換や修理が難しいことから、このまま廃炉になる可能性もある。
原子炉は一九七〇年代にオランダの企業が建設した。同じ企業の原子炉は、ベルギー以外に、米国やスイス、ドイツ、オランダ、アルゼンチンなどに二十基以上存在しており、今後、各国で検査を求める声が高まりそうだ。
ベルギー政府は段階的に原子力発電を減らし、二〇二五年までに原発を全廃することを決めている。
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