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世界宗教者平和祈りの集い:比叡山宗教サミット25周年、脱原発鮮明に /滋賀
毎日新聞 2012年08月05日 地方版
比叡山宗教サミット25周年の「世界宗教者平和祈りの集い」が4日、大津市坂本本町の比叡山延暦寺であった。今回は東日本大震災など自然災害をテーマに開かれ、「原発を稼働し続けることは宗教的、倫理的に許されない。宗教者は強く警鐘を鳴らす責任があったことを率直に反省する」とした「比叡山メッセージ2012」を発表し、脱原発の姿勢を鮮明にした。
半田孝淳天台座主は福島第1原発事故について「人間のあくなき欲望を満たそうと、大自然に対する畏敬(いけい)の念を軽んじたことが根本にある」と指摘。仏教やキリスト教、イスラム教など、さまざまな宗教の関係者約1000人が参加し、平和への祈りをささげた。
比叡山メッセージも福島第1原発事故に言及。「チェルノブイリやスリーマイル島の事故に謙虚に学ぶ姿勢が余りにも乏しく、安全性を過信した結果。技術の選択に深い倫理性が求められている」と訴えた。【石川勝義】
朝日新聞
「原発稼働 許されぬ」
2012年08月06日
【比叡山 平和の祈り/「世界宗教者の集い」閉幕】
京都市を中心に開かれた「世界宗教者平和の祈りの集い」は4日、各国の宗教者が原発問題について意見を交わした。取り巻く環境によってそれぞれの政府の対応は異なるが、
「原発を稼働し続けることは許されない」と脱原発をうたった比叡山メッセージを発表し、幕を閉じた。
京都市であったシンポジウムに参加したのは、日本をはじめ英、米、ドイツ、インドネシア、タイの計6カ国の宗教者。
ドイツは原発の是非を巡り長年国論が二分されてきたが、福島第一原発の事故を受け、脱原発に舵を切った。これを支持する同国のバイエルン福音ルーテル教会のイヴォ・フーバーさんは「再生可能なエネルギーへの転換にあたっては、エネルギーの効率的な使い方などをめぐる議論を宗教者が主導し、ライフスタイルを変えないと」と訴えた。
世界仏教徒連盟のパロップ・タイアリー事務総長はタイ出身。「わずか年前に原発の技術的勝利に祝杯をあげたが、その結果は福島の事故で嫌というほど示された」とし、「原子力にノーを!」と言い切った。浄土真宗本願寺派僧侶で、武蔵野大教授の山崎龍明さんも「原発は高度成長を支えた金もうけの道具。世界中が脱原発社会に向かうべきだ」と訴えた。
これに対し、インドネシアのイスラム最高評議会のディーン・シャムスディーン副議長は「原発が人々に恩恵を与える以上は支持する」とした。自国に原発はなく、政府は原発建設を検討中。日本の支援への期待もあるという。ただ、「原発には両面ある」とリスクも指摘。「安全な技術開発や再生可能なエネルギー源への投資を促すべきだ」と語った。
その後、会場を比叡山延暦寺(大津市)に移して、平和を願う鐘をついて黙禱した。「集い」の実行委員会の名誉顧問を務める半田孝淳天台座主が「原発事故は、人間のあくなき欲望を満たそうと突き進むあまり、大自然に対する畏敬の念を軽んじたことが根本にある」と発言した。
比叡山メッセージは「福島第一原発の事故は科学技術のもたらす安全性を過信した結果だ。廃棄物の安全な処理方法が見いだせない現実一つをとっても、原発を稼働し続けることは宗教的、倫理的に許されない。宗教者は、強く警鐘を鳴らす責任があったことを反省する」としている。(飯竹恒一、岡田匠)
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