2012年8月9日木曜日

福島第1原発3号機の水素爆発直後、福島県が東電に「健康被害の心配はない」と広報するよう要請(河北新報、朝日新聞)

(8月10日 追加)
河北新報
「健康被害ない」と広報を 爆発直後、福島県が東電に要請か

 福島第1原発3号機で昨年3月14日に起きた水素爆発の直後福島県が東京電力に「健康被害の心配はない」とする文言を報道発表資料に記載するよう要請していたことが8日、東電が報道関係者に公開している社内テレビ会議の録画映像で分かった。
 映像によると、昨年3月14日午後1時20分ごろ、東電広報班が同社福島事務所からの依頼として「3号機の爆発に関するプレス(報道発表)文に、福島県知事から『いま北西の風が吹いており、観測された放射線量から健康に被害が出る心配はない』という文言を入れたい、入れてほしいという話があった」と東電本店非常災害対策室に連絡した。
 対策室は健康被害に言及することに難色を示し、「(放射性物質が風に)揺られて戻ってくることもある。拡散作用で薄くなっているとは思うが(健康被害の心配はないと)言い切るのはリスキー(危険)だ」と指摘。「(首相)官邸に県知事からこういう意見が出てますと言ってほしい」と回答して結局、報道発表資料に記載されなかった。
 3号機の水素爆発は14日午前11時ごろ発生。文部科学省所管の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の拡散予測データでは、14日は午前中から太平洋方向への西風が吹いていたが、同日深夜に風向きが南に変わり、翌15日昼すぎには西や北西など内陸方向に吹いていた。
 県原子力安全対策課は「当時の状況や経緯は分からないが、根拠にした線量は東電の測定データだと推測される。一般的に東電の報道発表の表現について助言したり、感想を述べたりすることはある」と話している。
2012年08月09日木曜日

朝日新聞
爆発後に知事「健康被害の心配ない」
2012年08月10日
●東電に発表依頼か テレビ会議に記録
 東京電力福島第一原発3号機の爆発直後、県が「健康被害の心配はない」との文言を東電の報道発表文に盛り込むよう依頼していたことが、東電が報道機関に開示したテレビ会議の加工映像で分かった。県は「事実関係が把握できておらず、調査中」としている。
 昨年3月12日の1号機の爆発に続き、14日午前11時1分に3号機が爆発。映像によると、同日午後1時20分ごろ、東電本店の非常災害対策室で、広報担当者が同社福島事務所からの依頼として、こう発言した。
 「(爆発に関する発表文に)福島県庁、具体的には県知事から、『これから天候が崩れる予想だが、今、北西の風が吹いており、観測された放射線量から健康に被害が出る心配はない』という文言を入れてほしいという話があった」
 「こういうことでいいのか、お諮りしたい」とする担当者に、「(風に)揺られて戻ってくることもありえる。拡散で薄くなっているとは思うが、言い切るのはリスキー」「自分たちから言うのはどうか」など慎重論が続出。結論は「(首相)官邸にこういう意見が知事から出ていると相談する」となり、発表文には盛り込まれなかった。
 第一原発では当時、風向きや、2号機の給水設備の確認などに追われていた。文部科学省のデータによると、3号機爆発の前後は西からの風だったが、14日夜には北の風にかわり、15日の日中は陸へ向かう東よりの風が吹いていた。
 県災害対策本部は「発表文の表現で東電に助言することはあるが、盛り込む内容自体を依頼するとは考えにくい」と釈明、「本当に依頼したのか調査中」という。東電も「関係者も詳細を覚えておらず、資料も見あたらない」としている。

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