東京新聞
ワカサギ、なぜ捕れない? 榛名湖で釣り解禁見送り続く
2012年11月14日 11時16分
榛名湖で昨年八月下旬以降、放射性物質を調べる検体として必要なワカサギがほとんど採取できず、釣りの解禁が見送られたままだ。群馬県などは原因究明を続け、現在までのところ確かなことは分からず地元漁協でも首をかしげる。
「今月あと二回検体採取をやって駄目なら、(解禁は)冬場に期待するしかない」
榛名湖漁業協同組合組合長の野口正博さんは残念がる。解禁は昨秋と今年初めに続き、秋も見送られている。
湖上で散見されるボートは、オオクチバス狙いの人が多いという。野口さんは「バスは昔からいたし不漁の理由とは思えない。原因は分からない」とする。
県などは昨年半ばから、餌のプランクトンが十分にあったかどうか調べ始めた。ワカサギはふ化後三日以内に最初の餌を食べなければならず、手ごろの大きさのワムシが十分にあったかがカギという。湖の中ではプランクトンの相が変化している。
ワカサギは稚魚の段階でいなくなっているという。県は、オオクチバスによる捕食を念頭に、バスの胃の内容物を調べDNA鑑定を行っている。ただし、同じようにワカサギとバス、ニジマスなどが捕食関係にある神流湖、梅田湖は今年はワカサギが豊漁といい、なぜ榛名湖だけとれないのか疑問は残る。
ふ化の状況も調べている。卵は空気にさらされると死ぬといい、通常、プラスチックケースに入れ水面下五十センチほどのところに設置。県水産試験場に持ち込んだものは、うまくふ化している。
県の担当者は、榛名湖は十五年ぐらい前にも不漁があり、五年ほど前は豊漁だったとする。「プランクトン、バス、ふ化の状況が相互に作用した可能性もある」としつつ、ほかの可能性も探る。
ふ化用のプラスチックケースが山積みになった榛名湖漁協の事務所で、野口組合長は「来年に向け準備している」と、一日も早い原因解明を待ちわびる。
(池田一成/東京新聞)
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