2016年6月8日水曜日

「上着か毛布か」 斎藤美奈子(本音のコラム『東京新聞』2016-06-08) ; だいたい消費税を上げて社会保障費に充てるっていう発想自体がおかしくない?  寒さで震えている人に「毛布買う金がいるから、その上着を脱いでよこせ」と要求しているようなもの。・・・


上着か毛布か  斎藤美奈子(本音のコラム『東京新聞』2016-06-08)

 「消費増税を延期したんですね」 
 「おかげで社会保障もパーですよ」

 みたいな話になっているのが腑に落ちない。

 だいたい消費税を上げて社会保障費に充てるっていう発想自体がおかしくない? 
寒さで震えている人に「毛布買う金がいるから、その上着を脱いでよこせ」と要求しているようなもの。

 上着を渡して(消費税を上げて)、毛布(社会保障費)を待つか。
今のままで我慢するか。
究極の二択だ・・・。
って、べつに究極の二択じゃないですよ。
そういうときは、上着はもちろん取り上げず、ぬくぬく暮らしている人のところから毛布を調達してくるんですよ。

 実際、2%の増税は家計を間違いなく直撃する。
増税の延期でホッと胸をなでおろした人は少なくないはずだ。

 なのに民進党の岡田勝也代表いわく。
「公約違反だ。アベノミクスの失敗だ」。
そんなだから有権者にそっぽ向かれるのよ。
「増税延期は評価してやるが、社会保障は予定通り実施しろ」とでもいっときゃいいのに。

 その点「消費税10%増税は先送りでなく、きっぱり中止」、法人税減税や大企業への優遇税制をやめて財源に充てよ。
と要求している共産党はさすがだが、「きっぱり中止」じゃまだ弱い。
消費増税は5%に戻して、景気回復を目指す。
毛布に加えて上着ももう一枚の発想だ。
暖かくなれば人は動くよ。
(文芸評論家)


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