(略)
改憲を主張する人々から、天皇を「日本国の元首である」とする条文を盛り込もうという主張が出ています。しかし、天皇が政治的な権力や、軍事的な統帥権を持たされて無謀な戦争に突っ込み、破滅的な敗北を喫した経験を忘れてはなりません。
陛下も、元首としての天皇などという戦前の姿に戻ることは、およそお望みではないと思います。国民に敬愛され、信頼され、緩やかに日本をまとめている現在のあり方こそが、天皇制の長い歴史の中で、伝統であり、本来の姿であるとお考えであると思います。
憲法1条のもう一つの柱が、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」であることを思わずにいられません。今回の議論を、天皇(大元帥)を利用し、日本を亡国に導いた歴史を踏まえ、天皇制と憲法を考える機会にしたいものです。
(聞き手 編集委員・駒野剛)
『朝日新聞』2016-07-15
前文
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、・・・
第一章 天皇
第1条(天皇)
天皇は、日本国の元首であり、・・・
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