美の巨人たち(2016年4月23日)
葛飾応為『夜桜美人図』 ”光と闇”を追い求めた伝説の絵師
「美人画においては自分の娘にはかなわない」
と葛飾北斎をして言わしめた娘・応為(おうい)の最高傑作『夜桜美人図』
愛知県小牧市のメナード美術館蔵(展示されていない)
絹地に描いた肉筆絵
北斎は二度の結婚において6人の子供(2男4女)がいた
そのうちただ一人絵師になったのが応為(本名;お栄)
応為の生涯については殆どわかっていない
南沢等明という絵馬の絵師に嫁いだが、
亭主より絵がうまくて結婚生活がうまくいかなかったとか(?)
応為の絵の特徴は、その光と闇の描き方
応為のもう一つの傑作『吉原格子先之図』
(上野公園内の清水観音堂で俳句を詠んだといわれている)
絵は、何種類もの光が描かれていて、夜の空気が漂っている。
灯籠の灯りが短冊に反射し右腕を照らしている
着物は大振袖(当時の江戸では、ねずみ色と茶色が好まれた)
帯は結びたらしている
振りからのぞく
長襦袢の緋色(赤)が、絵全体の中で映えている
衣装の上には裏彩色という技法を駆使して微妙な陰影が描かれている
裏側から色を入れてゆくことで表の陰影を滲ませることなく描くことができる
この影の表現は日本画の伝統にはないもので
応為は西洋絵画の知識を持っていたということがわかる
応為は、伝統的な日本画の手法と西洋の陰影法により
ほの暗い夜の江戸を表現した
父の北斎も西洋絵画の陰影表現の知識をもっていた
そしてもうひとつの光、夜空の星
赤い星は温度の低い星
青い星は温度の高い星
というように、色がつくことにより
星空に奥行きや質感が出るようになっている
北斎の『二美人』と比べると
北斎は応為ほど光に敏感でなかったことがわかる
光と闇を極めたのが応為(お栄)である
北斎晩年の作『富士越龍図』と並べてみると
その構図が似ていることがわかる
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