原子力委:「秘密会議は政策調整の場」内閣府が検証
毎日新聞 2012年08月02日 02時31分(最終更新 08月02日 02時49分)
内閣府原子力委員会が原発推進側だけで「勉強会」と称する「秘密会議」を開いていた問題で、内閣府の検証チームが「(表(おもて)の)小委員会の議論に影響を与えた」と指摘する調査結果をまとめることが分かった。3日、細野豪志・原発事故担当相に提出する。電気事業者側が秘密会議で核燃サイクル維持に有利な政策になるよう求めていたことも認定し「(国と事業者との)政策調整の場だった」と結論づける。原子力委は議論への影響を否定し続けてきたが、それを覆す内容となる。
原子力委は原発事故後の核燃サイクル政策を見直すため昨年9月、有識者による小委員会を設置。小委員会の議論を基に6月、「30年で原子力依存度が約15%なら、使用済み核燃料を再処理する手法と、地中にそのまま捨てる(直接処分する)方法の『併用』が適切」などとする決定を出した。政府の「エネルギー・環境会議」はこの決定を重視して核燃サイクル政策に関する結論を出すとしており、対応が注目される。
関係者によると、検証チームは秘密会議参加者約80人のうち約40人からヒアリングした。一部は「3月8日の秘密会議で高速増殖原型炉『もんじゅ』の研究開発中止につながるシナリオ(モデルケース)を小委員会の議論の対象から外すよう求める発言があり、コンセンサス(合意)が生まれた」と証言した。
検証チームはさらに、秘密会議の司会役だった内閣府原子力政策担当室職員(当時)が消去したメールなど約6600本を復元した。その結果、小委員会の結論に当たる「総合評価」の原案について4月下旬〜5月上旬、多くの秘密会議参加者が修正を求めるメールを原子力委に寄せていた実態が判明した。原案段階では全量直接処分に有利な表記だったが、5月8日の小委員会には併用に有利な表現に書き換えられた報告書案が提出されたことが既に判明している。
秘密会議は昨年11月〜4月、計23回開催された。秘密会議に21回出席し「表」の小委員会で座長を務めた鈴木達治郎・原子力委員長代理は一貫して「データ整理など作業のための場。小委員会の議論は(秘密会議の)影響を受けていない」と主張してきた。【核燃サイクル取材班】
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