2016年7月10日日曜日

「9.11」の暗転がバングラデシュにやってきた――ダッカ・テロ事件の背景にあるもの(上) 聖心女子大・大橋正明教授に聞く / 日本は完全に向こう側になってしまった (下) JCASTニュース


 国際的には「世界の警察」であるアメリカがアフガニスタンやイラクで無実の人たちを大量に殺している。パレスチナやシリアの問題も一向に解決しない。そしてバングラデシュ国内では経済成長によるひずみ、すなわち社会的不正義が蔓延している。そうした、ささくれ立つようなことが国内外に多々あるわけです。
若い人たちはもともと過激思想を持っているわけではありません。しかし、そういう小さなささくれが沢山あり、ある日、その傷がガッと大きくなり、テロを起こすような過激思想に染まっていくのではないかと思います。


 しかし今の日本は、イスラム過激派からすると、完全に向こう側=「有志連合」や「十字軍」の一員となってしまいました。安倍晋三総理の安保法制でまさにそういう姿勢を示したわけですから、過激思想に走った人々にとっては、もう「日本人だから」というやり方は残念ながら通じなくなってしまったのです。
 日本からの援助は経済開発に偏っているので、経済成長の中で生じてしまった一層の不正や腐敗の問題は野放しになったままです。賄賂の問題もそうですし、たとえば、逮捕された人たちがちゃんと弁護士をつけられるだとか、拷問を受けないだとか、女性がセクハラされないだとか、そういう重要な社会的正義が守られていない。
 そんな政府を日本が援助して経済成長を続けていく――というのは、一部の人たちから見れば、ちょっと絶望的な気分になるんじゃないかという気がするのですよね。「僕ら金のために生きてるんじゃないんだ!」と。今回の事件では、狙われたわけではないにせよ、避けられなかったのはそのせいですよね。

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