2016年7月7日木曜日

特集ワイド:「雇用改善」は本当か 安倍首相は「アベノミクスの成果」と言うが… - 毎日新聞 ; 「雇用者数は増えましたが、それは実体経済が改善したということではありません」 ・・・現場にも浮かれムードはない。



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 数字はすべて事実だ。しかし、BNPパリバ証券チーフエコノミストの河野龍太郎さんは「雇用者数は増えましたが、それは実体経済が改善したということではありません」と指摘する。

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・・・受理地別では沖縄が0・94倍、鹿児島が0・97倍、最新の5月統計でも沖縄は0・98倍で「全都道府県で1倍」はまだ実現していない。都市部の本社が地方の支社の求人を出した時、受理地別なら都市部の求人に計上されるが、就業地別なら支社のある地方に計上される。つまり、「47都道府県すべてで1倍」は、統計の取り方次第で変わる数字なのだ。

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 有効求人倍率が上がるもう一つの理由に、少子高齢化で働く人が減っている事情もある。・・・

 さらに地方では、若者の都会への人口流出が拍車をかける。・・・

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 では「正社員26万人増」はどうか。総務省の労働力調査によると昨年の正社員数は8年ぶりに増加に転じ、確かに前年比26万人増の3313万人だった。しかし、非正規も増えており、昨年は同18万人増の1980万人。正社員の方が増えていると反論されるかもしれないが、非正規は13年(同93万人増)と14年(同56万人増)の伸びが著しく、昨年はその傾向が少し鈍化しただけだ。非正規の割合は10年以降、縮小することなく、現在は4割近い。06年からの10年間を見れば、非正規は約300万人増え、正社員は約100万人減っている。

 現場にも浮かれムードはない。高知労働局の担当者は「正社員の水準はまだ低いのです……」と申し訳なさそうに語る。高知の5月の有効求人倍率は1・11倍。しかし、これはパートを含めた数字で、正社員に限ると0・5倍。全国平均の1・36倍も、正社員に限ると0・87倍。1倍を超えているのは東京、富山、福井、愛知など8都県だけだ。

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