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アベノミクス評価に大きな陰り 内閣支持率下落の背景
2014.7.21 21:51
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が第2次政権発足後最低となった背景が浮かび上がった。集団的自衛権の行使容認のための閣議決定に理解が広がっていないことが主な要因との指摘もあるが、実は景気・経済対策を「評価しない」とする回答が「評価する」を上回るなど、安倍首相が掲げる「アベノミクス」の評価に大きな陰りがみえるのだ。
世論調査では、政府が集団的自衛権の行使を容認したことを「評価する」としたのは35・3%にとどまった。逆に、集団的自衛権による自衛隊のシーレーン(海上交通路)での機雷除去には47・8%が「賛成」と回答、「反対」を約10ポイント上回った。集団的自衛権の象徴的事例の行使には理解を示す一方、集団的自衛権の行使容認そのものには慎重という逆転現象が起きたわけだ。
この最大の要因は政府の説明不足のため集団的自衛権への理解が広がっていないこと。行使容認に関する政府の説明について、85・7%の人が不十分だと回答していることからも明らかだ。
政府高官は、内閣支持率が低下傾向にあることについて「集団的自衛権の問題が一番の要因だった。これが終われば、支持率は高くなる」と分析する。しかし、世論調査では首相の景気・経済対策を「評価しない」との回答が47・1%と「評価する」を7・7ポイントも上回り、前回調査(6月28、29両日)と評価が逆転。社会保障政策も6割超が評価せず、老後の生活への不安を解消していないといえる。
政府は有効求人倍率など経済指標が好調に推移していることを強調する。だが、日経平均株価は昨年12月から今年1月にかけて1万6千円台に突入したものの、2月以降は1万5千円台で足踏み。高騰するガソリン価格は、自動車での移動が欠かせない地方の生活費を圧迫し、経済指標に表れにくい“不満要素”となっている。
首相は、秋の臨時国会で若者の雇用と子供の育成に重きを置いた「地方創生」を最大のテーマに掲げる方針を示している。もう一度、経済最重視の姿勢を国民に示すとともに、アベノミクス効果を地方や末端にまで浸透させる。ここが、長期安定政権になるかどうかの重要なカギになりそうだ。(峯匡孝)
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