昭和16年(1941)5月11日
・駐米大使野村吉三郎、松岡修正案を米に提示。
①米は中国より手を引く、
②日本は三国同盟厳守、
③日本は南進に武力を持ちない保障をしない。
ハルは失望するも、交渉打ち切りは好ましくないと判断。
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・フランス、ユダヤ人問題研究所創設。占領当局の反ユダヤ機関の拠点となる。
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5月12日
・大本営政府連絡会議、松岡外相の発言。
「我外交ノ集中ハ米ヲ参戦セシメズ、「コンボイ」(船団護送)ヲヤメサセル事、ニ指向スルニ在り。
・・・「ヒットラ」ヨリハ、未ダ返事ガ来ヌガ、「コンボイ」ハ重大ナル結果を招来スルカラ、米ノ「コンボイ」ニ対スル独ノ行動ハ特ニ慎重善処スヘキ旨ヲ申送り、其際米ノ不参戦、独米戦争セサルコトヲ外相親シク伊勢神宮ニ祈願シタ事ヲモ附加シタ」
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・青森県三本木町で大火。684戸が焼失
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・自動車修理用部分品配給統制規則公布
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5月13日
・ドイツ、バルバロッサ訓令。
「バルバロッサ地域における軍法の適用と部隊の特別措置」。ソ連侵攻時、大量虐殺を実行する機動部隊4個編制
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5月14日
・貿易統制令公布。翌日施行
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・フランス、パリ在住ユダヤ人3,747人、フランス国内収容所強制収容
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・ドイツ空軍、マルタ島大空襲を開始。
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5月15日
・フランス、レジスタンス国民解放戦線結成
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・フランス共産党、「フランスの独立のために戦う国民戦線」結成呼掛け
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・イギリス軍「ブレヴィティ作戦」(ハルファヤ岬における反撃作戦)で反撃、失敗
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・クロアチア王国、樹立。
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・ドイツ空軍、クレタ島を空襲。
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5月16日
・中国共産党、蒋介石に対して「国共調整臨時弁法」12ヶ条再要求
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・南京汪政権、「清郷工作」開始
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・中原会戦
第3飛行集団が参加、中條山中で陸上部隊に物資を投下して包囲作戦を支援。
中国軍の遺棄死体は4万2千。
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・情報局第4部懇談会。毎月10日までに全雑誌の編集プラン・執筆予定者を事前に情報局提出命ず。
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・イタリア・アフリカ軍、降伏。
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5月17日
・「日本の領事裁判権を行使できる地域での国防保安法と治安維持法適用に関する特例」公布
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・阿部定、恩赦で栃木刑務所を出所。
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・アメリカ、アーノルド米陸軍航空部隊司令官、B29試作着手時点で量産内約結ぶ
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5月18日
・利根川で汽船が転覆、49人死亡。定員超過が原因。
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・エチオピアのイタリア軍主力、降伏。
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5月19日
・リヒャルト・ゾルゲ報告、ドイツは9軍団103師団を対ソヴィエト用に準備。
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・東京市、夏季のビールの配給は1世帯8本と決定。
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・ホー・チ・ミンら、ベトナム独立同盟(ベトミン)結成。
インドシナ共産党第1期第8回中央委員会(5月10日~19日)決議。
カオバン省バクボ。
反日・反仏民族解放路線(反封建を外す)決定。インドシナ3国が夫々の独立を追及。
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5月20日
・東京港、外国貿易港として開港指定
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・硬化油等配給統制規則公布
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・教科用図書調査会設置
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・ドイツ軍(空挺部隊)、クレタ島攻撃。メルクーア作戦。6月1日 占領。
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5月21日
・国産機械見本展示船、北米へ向け神戸を出港
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・農林省、家庭用米の外米混入率を63%に増量。
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5月22日
・硫黄配給統制規則公布
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・支那駐屯憲兵隊を北支那派遣憲兵隊に改編し、憲兵隊の性格を常設から野戦に変更
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・山口梧郎「皇陵二千六百年史」、天皇・皇后御陵等の誤謬が多いとして発禁
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5月24日
・関東州燐寸専売令公布
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・アメリカ、ボブ・ディラン、誕生。
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・ドイツ軍「ビスマルク」「プリンツ・オイゲン」、英「フッド」「プリンス・オブ・ウェールズ」と交戦、「フッド」沈没
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5月26日
・難波田春夫「日本経済の諸問題」、マルクス主義的国家観であるとして発禁
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・フランス、北部フランスの炭坑スト始る
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・チェコ、プラハ、行政長官・帝国治安本部長官ラインハルト・ハイドリヒ、チェコ人に狙撃され、6月4日.死亡。
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・イギリス空母フォーミダブル、イタリア領ドデカネス諸島の急降下爆撃機基地を攻撃。
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5月27日
・科学技術新体制確立要綱、閣議決定。
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・アメリカ、ルーズベルト大統領、国家非常事態を宣言。
欧州でのドイツ軍の行動は対米侵略準備と決め付ける。
「米政府を暴力によって破壊転覆することの教唆と宣伝」を犯罪とするスミス法制定。
ブラウダーは旅券法違反で起訴され禁固4年刑。
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・ドイツ主力艦ビスマルク、イギリス軍に撃沈
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・フランス、ダルラン副首相・ヒトラー会見。
中東・北アフリカ植民地のドイツ軍利用協定(パリ議定書)同意。
近東諸国一帯でのフランスの軍事的対ドイツ協力。
これにより、ヴィシー側のフランス委任統治領シリアの飛行場にドイツ・イタリア飛行機120機が到着。
ドイツは、ヴィシーに対して占領税を1日4億フランから3億フランに減額、捕虜9万人を釈放。
シリアのフランス軍はヴィシーに忠誠を誓い、多数の戦車・航空機を含む兵力約3万で国境地帯を固める。
自由フランスは兵員6千、大砲8門・戦車10輛・飛行機20機の動員能力しかなく、シリア攻略にはイギリス軍の協力が必須。
しかし、イギリスは、特にエジプトに強力な軍を保持しているが、リビアのドイツ・イタリア軍との戦いに集中するためシリアに戦線拡大する余裕なし。
更にこの頃、イラクで親ドイツ派が政権掌握し、イギリスはこれへの対応も迫られている。
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5月28日
・社団法人新聞連盟、設立。
軍・政府の方針に追随しながらも、自己の地位を守ろうとする全国新聞社の自主的統制団体。
半年後に公布される新開事業令により、「統制会」として発足した日本新聞会にとってかわられる。
日本新聞会は、
「その機構組織性格すべてが会長(田中都吉)の裁定命令に委ねられ、これに反するものに対しては、法令に依って廃刊停刊の極刑をも科し得るやうにした。
連盟が審議機関に止つたのに反し、「新聞会」は純然たる執行機関、新聞行政機関となった」
(伊藤正徳「新聞五十年史」、昭和22年)。
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・イギリス軍、クレタ島から撤退を開始。
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・シリア攻略。イギリス委任統治領パレスチナのエルサレムを本拠とする自由フランス・イギリス連合軍がシリアへ侵攻(自由フランス軍は後詰め)。7月12日停戦。
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5月29日
・三菱商事、米、濠、マニラ、ジャカルタ、シンガポール、スラバヤ、バグダッド、等各支店に全支店員の引揚げ命令
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・神戸市滞在亡命ユダヤ人、中東に向けて神戸を出港。
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5月30日
・リヒャルト・ゾルゲ報告、6月後半にドイツは対ソヴィエト攻撃開始。
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・イギリス軍、バグダッドを占領してイラクのクーデター鎮圧。
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5月31日
・内務省検閲課、偽暦記事掲載出版物取締りに関する件を全国各府県に通牒、大安・仏滅などの記載を禁止
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・米、ハル国務長官、野村大使に非公式案提示、
①全国家の領土・主権の尊重、
②内政不干渉、
③通商上の機会均等含む平等原則、太平洋の現状維持の4原則
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・イギリス軍、ギリシャ地方からエジプトへ完全撤退。クレタ島より駆逐。
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