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安倍首相がTPP交渉参加表明 どうなる著作権
ITmedia ニュース 3月16日(土)15時8分配信
安倍晋三首相は3月15日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加することを正式表明した。焦点となる農業など関連分野は多岐にわたり、著作権など知的財産分野にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
TPPで米国が提案しているとされる知財関連の主な条項は、(1)著作権保護期間の20年延長、(2)著作権侵害の非親告罪化、(3)著作権侵害に対する法廷賠償金の導入、(4)いわゆる「3ストライクルール」を含む不正流通防止関連事項――など。
著作権侵害の非親告罪化は主に映画の海賊版などを摘発しやすくするためのものとみられるが、権利者が告訴しなくても罪に問うことが可能になるため、日本で盛んな同人誌などの2次創作が萎縮することになる可能性もある。(詳細記事:TPP問題は農業・医療だけじゃない 知財・著作権関連の論点は)
TPP参加で著作権侵害が非親告罪になった場合、2次創作が多くを占める同人誌に大きな影響があるとして、漫画家の赤松健さんは2次創作向けに漫画家が意思表示できるライセンスの導入を提案している。
昨年12月、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンと著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(thinkC)、インターネットユーザー協会(MIAU)は、TPP交渉の透明化を求める「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」を発足させた。知財分野は「国民全員が利害関係者」だとして、ガラス張りの議論を政府に求めていく。
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TPP問題は農業・医療だけじゃない 知財・著作権関連の論点は
TPP問題は、農業・医療・自動車だけじゃない――TPP交渉の公開を求める団体がキックオフイベントを開催。著作権保護期間の延長や、著作権侵害の非親告罪化など、TPPの知財条項について整理した。
TPP問題は、農業・医療・自動車だけじゃない――クリエイティブ・コモンズ・ジャパンと著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム(thinkC)、インターネットユーザー協会(MIAU)は12月12日、TPP交渉の公開を求める「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」の設立キックオフイベントを開いた。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、アジア太平洋地域を中心とした参加国間で、人やサービスの移動を自由化したり、関税を撤廃しようという国際協定。日本国内の報道は農業や医療、工業の問題に偏っているが、米国が提案しているとされる知的財産権関連条項も、日本の文化に大きな影響を与える可能性がある。
同フォーラムは、「TPP自体にはニュートラル」としつつも、知財関連の条項の内容に危惧を抱いている団体の集まり。秘密協議となっているTPPの公開協議化を求め、それが実現しない場合は知財条項を除外するよう、政府に強く求めていく。
12日に開かれたイベントには、弁護士の福井健策さん、弁護士でクリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事の野口祐子さん、漫画家の赤松健さんなどが参加。TPPの知財関連条項を整理し、論点を洗い出した。
保護期間延長、著作権侵害の非親告罪化――知財分野の条項は
TPPの交渉範囲は貿易や競争政策、労働、知財など21分野にわたるが、「米国は知財分野を最重要に位置づけている」と福井弁護士。「米国は海外からの特許・著作権使用料収入が9.6兆円と、自動車、農産物をしのぐ金額。米国にとって知財は最大の輸出産業」のためだ。
TPPは厳格な秘密交渉が貫かれており、交渉内容は非公開だが、昨年2月、知財関連を含むいくつかの章について、米国提案が流出。「知財の強化、アメリカ化と言える内容」が含まれていると福井弁護士は危ぐする。
知財関連の主な条項は、(1)著作権保護期間の20年延長、(2)著作権侵害の非申告罪化、(3)著作権侵害に対する法廷賠償金の導入、(4)いわゆる「3ストライクルール」を含む不正流通防止関連事項――だ。
(1)著作権保護期間の延長は、以前から米国が日本に要求しており、「過去FTAでも入ってきたメニュー」(福井弁護士)だ。日本では2006年から、延長を支持する権利者側と、延長に反対するユーザーらの間で激論が交わされ、延長が先延ばしになった経緯がある。
(2)著作権侵害の非親告罪化もこれまで、国内で繰り返し議論されたものだ。著作権侵害が非親告罪化すれば、権利者の告訴がなくても罪に問うことができるようになる。パロディや同人誌など、著作者の黙認のもと“グレーゾーン”で流通している2次創作への萎縮効果や、悪意のある人によってクリエイターが告発される――といった影響が懸念される。
(3)著作権侵害に対する法廷賠償金は、実損害の証明がなくても、裁判所がペナルティ的な賠償額を決められるというもの。米国では、1作品当たり最大15万ドルまでと高額の賠償金定められており、日本に導入されれば、賠償金目的の知財訴訟が増えることが懸念される。
(4)には、DVDなどコンテンツのDRMを外して視聴する「DRM単純回避」の規制や、著作権侵害を3回繰り返した人のネット接続をISPが切る「3ストライクルール」などの導入が含まれている。
「国民全員が利害関係者」 交渉オープン化で国民的議論を
TPPは秘密交渉だが、知財関連の条項は「国民全員が利害関係者」(野口さん)だ。フォーラムは政府に対して、条文や交渉をオープン化を訴え、国民的議論を巻き起こしたい考え。オープン化が不可能なら、知財条項をTPPの対象から除くことを参加条件にするよう、政府に求めていく。「通商交渉は秘密が当たり前と政府は言うが、過去に透明性が担保されていた通商交渉もあった。オープン化は、できないことではないはず」(野口さん)
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