北海道新聞
TPP、道内影響1.6兆円 道試算、雇用は11万人減(03/20 08:38)
道は19日の道議会で、環太平洋連携協定(TPP)に参加し関税を即時撤廃した場合の道内の農林水産物の生産減少額を政府と同じ方法で試算したところ、農産品の4762億円など計5241億円にのぼることを明らかにした。一方、道独自の方法で、関連産業まで含めた道内農業を取り巻く影響額を算出した値は1兆5846億円となった。
政府が15日に公表した試算と同じ条件で、関税率が10%以上、かつ道内生産額が10億円以上の農産物12品目、水産物8品目、木材は合板について算出。主に2008年度の生産額を基準に、関税撤廃で輸入品に置き換わったり、輸入品との競合で価格が安くなったりすることによる減少見込み額を合算した。農産物の減少額4762億円は、08年度の生産額の6割に当たる。
<北海道新聞3月20日朝刊掲載>
TPP、農産物半減 道試算、影響額4800億円 1次産品は5280億円
(03/19 17:00、03/20 08:38 更新)
道が、環太平洋連携協定(TPP)に参加し、関税を即時撤廃した場合、道内の1次産品の生産額が約5280億円減少し、関連産業を含めた地域経済への影響額が約1兆6千億円に上るとの試算結果をまとめたことが19日、分かった。このうち農産物への影響額は、道内生産額の約半分を占め、あらためて道内産業への影響の大きさが浮き彫りになった。
政府が15日に公表した試算と同じ条件で算出した。それによると、全国の農産物への影響額約2兆6600億円に対し、道内農産物への影響額は約4800億円で、道内の農業生産額1兆137億円(2011年度)の約5割。また、水産物への影響額は450億円、林産物への影響額は約30億円を見込んでいる。
<北海道新聞3月19日夕刊掲載>
TPPで道産品窮地 2010年の道試算、農業2兆円超影響
(03/16 06:35)
安倍晋三首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を正式表明したことで、農作物をはじめとする道内の1次産品は、関税が下がったり撤廃されれば、安い輸入品の攻勢にさらされる懸念が出てきた。道が2010年に試算した農業分野への影響は総額2兆円超。政府が新たな試算をまとめたため、道もTPPに参加する11カ国からの輸入を想定した試算見直しを行い、影響の深刻さを訴える構えだ。
10年の道の試算では、農業生産額や関連産業、地域経済を合わせた影響額は2兆1254億円に及ぶ。まず農業生産額は、コメと小麦、ビート、でんぷん原料用ジャガイモ、酪農(バターなどの乳製品)、牛肉、豚肉の計7品目で6180億円減少。これは関税撤廃と、国内対策を講じないことを前提にした。
道産のコメは年間生産量が60万トンあり、全国で新潟県と一、二位を争う大産地。農業団体も「安い外国産が入り込めば、道産も駆逐される」と主張し、10年の試算では生産額が1130億円減るとはじいた。
畑作物は、道の試算ではビート(砂糖の原料作物)492億円減、小麦418億円減、でんぷん用ジャガイモ160億円減と見込む。砂糖とでんぷんは外国産と混ぜられて流通することもあり、「品質差がつきにくく、価格だけで評価されてしまう」(道内の農業団体幹部)のが特徴だ。
関税が撤廃された場合、外国産に対する国産の価格はでんぷん、砂糖いずれも2倍以上で、販売は難しくなる。
道内にはでんぷん工場が17カ所、製糖工場は8カ所あるなど関連産業の裾野は広い。7品目全体で関連産業への影響額は5215億円、商店や飲食店、金融など地域経済への影響は9859億円にのぼり、全体で17万3千人が失業し3万3千戸の農家が減ると算出した。
<北海道新聞3月16日朝刊掲載>
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