2013年3月29日金曜日

2005年8月「原子力政策大綱(案)に対するご意見を聴く会」で九州電力が8割を動員

毎日JP
市民公聴会:九電が8割動員…原子力大綱策定で 05年
毎日新聞 2013年03月28日 02時30分(最終更新 03月28日 02時54分)

 国の原子力政策大綱策定に向け原子力委員会が05年8月に佐賀市で開いた「市民公聴会」で、九州電力が社員らに呼び掛け、参加者179人の8割超に当たる計150人に動員をかけていたことが分かった。また、発言者21人のうち7人は社員だった。九電を巡っては11年、玄海原発再稼働の是非を問う県民説明番組に賛成意見を投稿するよう社員らに求めた「やらせメール」問題が発覚。九電は「メール問題と同様の対応を公聴会で行ったと考えている。真摯(しんし)に反省する」と謝罪した。

 この公聴会は「原子力政策大綱(案)に対するご意見を聴く会」。国の原子力政策の指針となる大綱に、市民の声を取り入れようと05年8月18〜26日、全国5カ所で開かれた。このうち佐賀市内のホテルが会場となった22日の公聴会で、発言者21人のうち7人は九電社員とみられたため九電に確認したところ、九電側が社内調査した。

 調査の結果、7人は全員が社員(1人は現在OB)で、大半が佐賀支店に所属。公聴会には本店の原子力部門や広報部門から呼びかけがあり、残された記録によると、社員と関連会社社員ら計150人が参加者として記載されていた。当日の全参加者は179人で、83%は九電関係者だったことになる。

 発言した社員は「生活レベルを維持するには原子力が必要」「原子力以外、エネルギー問題の切り札はない」などと大綱案を支持する意見を述べていた。九電は「(会社側から社員に)発言するように指示があったかどうか調べたが、当時の内部資料には何も記載がなかった。本人たちも『覚えていない』と言っており、現時点で(指示の有無は)分からない状況」と説明している。

 その上で、やらせメール問題と同様の対応だったとし、「過去に開催された国のシンポジウム等において参加等を呼び掛けたことについては、イベントの開催趣旨に対して配慮を欠いた事と考えており、企業活動の透明化、組織風土の改善、再発防止に全社で取り組む」とコメントした。

 大綱は05年10月、以後10年程度の原子力政策の基本方針として、原子力発電で総発電量の30〜40%を維持することや核燃料サイクルを従来通り推進することなどを盛り込み、閣議決定された。

 九電を巡っては、国が11年6月に開催した玄海原発の再稼働を巡る県民説明番組で、子会社や取引先に指示して再稼働を求めるメールを送らせた「やらせメール問題」が発覚し、会長と社長が辞任。05年12月に開かれた佐賀県主催のプルサーマルを巡る公開討論会でも、事前に質問内容を社員に割り当てる「仕込み質問」をしたことが判明している。【向畑泰司、杉本修作】


佐賀新聞
県内反応「またか」 九電の公聴会大量動員 

 「またか」-。2005年8月に佐賀市で開かれた原子力委員会の公聴会でも九州電力が行っていた世論誘導行為。佐賀県内の市民団体や県議は「企業ぐるみのやらせ体質がさらに裏付けられた」と不信感を強めた。

 反原発団体・玄海原発プルサーマル裁判の会の石丸初美代表は「やらせメール問題であれだけ世間を騒がせたのに、まだ隠していた。独占企業のおごりで、あきれる。九電は電気料金値上げの前に、全部洗いざらい言うべきだ」と憤る。

 九電の一連のやらせ問題を追及している県議会。徳光清孝議員は05年12月の県主催のプルサーマル討論会と「同じ構図」と指摘、「隠せるものなら隠し、公になれば謝罪する。やらせメール問題の後も九電の体質は何も変わっていない」と断じた。

 特別委副委員長の宮崎泰茂議員も「常習であり、国と通じ合った仲ではないか。許すことはできない。電気料金値上げはもってのほか」と批判した。原子力政策大綱がプルサーマルなどによる核燃料サイクルの堅持を基本としていたことに触れ、「公聴会がその後の討論会にもつながっている。4月2日の特別委理事会で対応を議論したい」と語気を強めた。
2013年03月29日更新


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