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駐留部隊:米女性兵士の3割、軍内部でレイプ被害
毎日新聞 2013年03月19日 02時30分
米英軍主導の侵攻から20日で10年を迎えるイラクや国際部隊の駐留が続くアフガニスタンに派遣された米女性兵士延べ28万人の3割以上が、上官らから性的な暴行を受けていたことが分かり、米国内で「見えない戦争」と問題視されている。連邦上院の軍事委員会で13日、「軍内性的トラウマ(MST)」と呼ばれる心的ストレスに関する公聴会が初めて開かれた。新たな被害を恐れ沈黙を余儀なくされてきた被害者は「風穴が開いた」と歓迎している。
カリフォルニア州図書館調査局が昨年9月に発表した実態調査によると、イラクとアフガニスタンに派遣された女性兵士の33.5%が米軍内でレイプされ、63.8%が性的いやがらせを受けたと回答した。国防総省も問題を認めている。軍内での性的暴力は2010年だけで、男性の被害も含め推計1万9000件にのぼる。
上院公聴会で議長を務めたバーバラ・ボクサー議員は「被害申告が出ているのは17%にすぎない」と指摘。「この問題の公聴会を開くのに10年もかかった。変革の第一歩だ」と意義を強調した。
イラク戦争中の03年にクウェートに派遣された前後に米国内基地で上官から性的暴力を受けたコーリン・ブッシュネルさん(39)は、公聴会をインターネットの生中継で見ながら「草の根運動で長年取り組んできたことがようやく公に明るみに出た」と興奮した。証言する予定だったが心的外傷後ストレス障害(PTSD)のため断念。議長の言葉に救われた思いがした。
クウェート派遣前に男性上官からレイプされ、帰還後に女性上官から性的暴力を受けた。「上官を訴えても自分を助けてくれる人がいると思えなかった」。精神的なバランスを崩し、06年に退役。2人の子供がいる家には帰れず、5年近くホームレス生活を続けた。「自分が恥ずかしく、行く場所がなかった」
05年のイラク派遣中に変死した女性米兵ラベナ・ジョンソンさんの両親が、自殺と断定した軍に「殺害された」と異議を唱えていることを知った。ジョンソンさんの遺体には、殴られ、レイプされたと見られる痕が残っていた。下士官時代のつらい記憶と重なり「彼女の無念を伝えるのが使命」と感じた。昨年夏から3カ月、全米12州の退役軍人組織を巡る行脚に出た。
退役軍人庁の11年の統計によると、ホームレスの女性退役軍人のうち39%が軍内性暴力の被害者だ。市民団体「女性兵士行動ネットワーク」によると、10年に退役軍人庁のPTSD認定基準が緩和されたが、MSTは申請の32%しか認められていない。全体平均は53%だ。
米国防総省は1月、直接戦闘地域への女性派遣を禁ずる規定の撤廃を発表した。ブッシュネルさんは女性の戦闘任務参加を歓迎しつつ、「今ですら性暴力の告発は難しい。最前線で公正な判断ができるのだろうか」と不安を語った。【ロサンゼルス堀山明子】
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